オックスフォード通信(330/35)ウイーンフィル

ロンドン・バービカンホールにウイーンフィルの演奏会を聴きに行ってきました

昨夏にオーストリア・ウイーンを訪問した際、ウイーン楽友協会・黄金の間でモーツアルトの演奏を聞くことが出来たのですが(見る?)、演奏は残念ながらウイーンフィルではなかったのでいつか、憧れのウイーンフィルハーモニーの演奏会に行きたいと思っていました。

丁度本日、ロンドンでコンサートがあるということで、少し早い目に出て、映画「ノッティングヒル」の近くを散策したあと、バービカンホールに向かいました。

チケットは早々に完売とのことです。本日は、マーラー最後の交響曲第9番一曲のみ、休憩なしのノンストップです。指揮はハンガリーの重鎮、Adam Ficher、2Fからの観覧となりました。

開場まで時間が少しあるので、バーでスパークリングワイン( £8,シャンパンのことです)を頂いてから、会場へ(荷物検査は係員が荷物の中を懐中電灯で照らすくらいと、割と簡略化されていました)

マーラーは5番くらいしか聴いたことがないので9番ははじめてがコンサートということになります。正直なところ、第1,2楽章はバイオリンがいま一歩調和していないような感じがあったのですが、徐々に歩調が合ってきたのか、会場の熱気とオーケストラがよき相乗作用をしてきたのか、大編成のオーケストラが一体となってきます。そして第3楽章でのストリングスの大合奏。オーケストラ全体が浮き上がってきたような浮揚感を感じます。

マーラーが死の2年前に書き上げてたことが示唆するように(50代でなくなっています)、第4楽章はマーラーの「死とは、生とは、人は何のために生まれてきたのか」といった問いに対する回答が詰められているように、聴きながら思いました。丁度ゴーギャンが「人はどこから来てどこにいくのか」という絵画を描いたのとよく似ているのかもしれません(ボストン美術館蔵)。そして最終章・最終局面、大きく盛り上がった後、指揮者のフィッシャーが静かに、静かに各楽器を押さえるように、静寂の時が。その時が、1分近くも続いたように思います。観客席も安易にブラボーとも言わず、フィッシャーが終わったよ、という合図を何となくしたような後に大きな拍手が。

マーラーには死の2年前に大きな発見があったのと思います。それをこの9番に詰めた。そんな感じがしました。フィッシャーに会うのはこれが最初で最後の機会だろうと思います。それだけに彼の熱演に思わずひきづり込まれる思いでした。

★今回の教訓:生のコンサートはいい。いくつものインスピレーションが湧いてくる。

(2019.2.20)

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オックスフォード通信(329/36)Trinity College

ダブリンの中心部にあるのがトリニティーカレッジです

本日はここである用事をさせていただきました。Corkというアイルランドの南部のUCC (University College Cork) のC先生、トリニティーカレッジのJ先生と一緒です。朝の8時にホテルでC先生と待ち合わせて、J先生のオフィスへ。お昼ご飯を含めると午後2時半くらいまでですから半日以上、いろいろなお話をさせて頂きながら用事を済まさせて頂きました。

今回のアイルランド訪問の目的がこの用事だったので、いい形で済ませることができて達成感につつまれる幸せを味わうことが出来ました。それ以上にトリニティーカレッジの大学院生のNさんの割れんばかりの笑顔を見ることができて嬉しい気持ちになりました。

J先生いわくトリニティーカレッジはケンブリッジのようなカレッジを沢山作ってUniversityを形成する予定だったのが、ひとつに終わってしまったので、Trinity College, The Univerity of DublinとUniversityも付けたとのこと。

学期中ということもあるのですが、オックスフォードと異なりひとつのキャンパスに全学生が集まっているので学生で賑わっているという感じの活気のある雰囲気でした。またラップトップであちらこちらで思い思いに研究している学生のすがたを目の当たりにしました。そんなに行儀がいいわけではないのですが、これぞアカデミックという感じです。

お昼は大学専任教員(フェロー)専用の食堂でランチ(本日のスープ、ベークド・サーモン、ブリュレ、白ワイン)を頂いたのですが、内部は豪華な作りで本格的レストランという雰囲気です。サーモンはこれまで見た中で最大級の大きさ。面白いのはC先生やJ先生は話をしている時はもちろん食べないのですが、ターンテーキングで話が他に移ると猛烈なスピードで食べるところです。例えば、C先生は私と同じサーモンだったのですが、先ほどまで私の方が沢山食べていたのですが(そうやってカウントできるほど大きいサーモン!)私が話をしている時に一気に食べたのか、気がつくと、抜かされていました。緩急の付け方がうまい。

話をするときと食べるとき、それぞれ集中して事にあたる感じです。

話が戻りますが、活気のある大学はいいとおもいます。日本のように化粧したり綺麗な服を着飾ったりしている女子大学生の数は少ないですが、それぞれが生き生きとしているのでとても魅力的に見えます。男子学生も同じです。ひと言で言うと、大学生活に夢中になって取り組んでいる、また取り組むことがあるということです。服装や化粧を気にすることと大学生活に夢中になることはトレードオフ(Trade-Off)の関係にあるのでしょうか。

夕方は、有名なThe Temple Barでギネスをもう一杯とオイスターを半ダース頂き、帰路に就きました(折角、3日間有効のリープカードを買ったのに、空港行きの700系統のバスが来ない!諦めて757を待っていたら、あと3mi=>2min=>1min=>dueとなってさあ、と思っても来ない。しばらくすると電光掲示板から757の数字が消えた。えええ、と思って暫く待ったものの飛行機に乗り遅れては・・・と思いタクシーに。ところがタクシーに乗っていると、バス専用レーンを後から走ってきた757系統のバスに抜かされていました。アイルランドは大好きですが、交通機関関係はイギリス同様、あまり好きになれません)。

帰りのヒースロー空港では、ようし、パスポートにBRP (Biometric residence permits) を出す気満々で到着したのですが、あろうことか、BRPどころかパスポートコントロールもない始末。準備がなかなか報われません。

★今回の教訓:達成感は生きがいに重要。活気も大学に必要。

(2019.2.19)

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オックスフォード通信(328/37)モーアの断崖

アイルランドで有名というと断崖

一日ツアーに参加してきました。北アイルランドのGiant’s Causewayにも興味があったのですが、単純に1時間分遠いということ、西のCliffs of Moher(モーアの断崖)を選択しました。Brian(ガイド)とRob(運転手)のコンビはFriednlyで親切。アイルランドは裏切りません。

M7を西へ西へ、Limerickから空港のあるShannonを通り、Doolinの近くからは大西洋が姿を現します。ここまで約4時間。しかし、Brianはアイルランドの歴史を中心にほぼずっと話しまくり飽きさせません。またすごいと思うのが、客席へ歩み寄り一人一人に何か質問はないか、といいながら話かけてくるところです。このタイプのガイドははじめてです。

特注、Barack Obama Plazaというドライブインで休憩(行きも帰りも)。はじめは冗談かとおもったのですが、オバマ大統領の母方のgreat-great-great father(もうひとつgreatがついていたかも)がこの近くのMoneygall村の出身ということで、大統領の任期中に専用のヘリコプターでこの地に降り立ったそうです。その時のヘリコプターの写真や本人の写真が、2Fにはアイルランドにゆかりのあるアメリカ大統領の展示会場があります。本人のほぼ実物大の写真だけでなく、外には銅像も。日本も小浜市が何かすればよかったのに、と思うのですが、名前以外のつながりを見つけるのは難しいところですね。

さて、モーアの断崖。断崖の連続で直角に切り立っています。幸運にも天気に恵まれ青空を背景に太陽がキラキラと綺麗です。Walk Trailが作ってあって安全にみることができるのですが、何十メータ(アイルランドはメトリック法でメートル・キロ表示なので分かりやすい)したの海上からものすごい風が吹き上げてきて、潮くさくないのですが、雨が降っているような場所とものすごい風が海から吹いているところ(ほぼ全域か)があります。大人でも吹き飛ばされるくらいの風速で台風レベルです。

なのでフェンスよりも外にでてはいけないといわれているのですが、命知らずの人達が数多く崖の近くまで。風が反対側から吹いたり、足下が崩れたら一巻の終わりです。GoProを手にした青年が崖の外に一脚を伸ばし、その青年を家族で支えているという場面も目撃しました。Rangerと印字されたジャンパーを着た監視員もいますが、下に落ちてしまったらどうしようもないと思います。

しかし、この絶景はいままでみたことのないような息を呑むようなものでした。なぜでしょうか。明るい大西洋があるからなのか、日本海のような荒波が崖にぶち当たる荒々しさがいいからなのでしょうか。虹もかかり、風に体を揺らされながら約2時間、この風景に見とれました。

自然は偉大だということを実感させられます。新婚旅行にも絶好だと思います。

帰りはThe Fieldというアイルランド映画と乗客からのリクエストでアイルランドがでてくるPS. I love youの映画を観ながらダブリン市内まで戻ってきました。優に午後9時を回っていましたが、いい疲労感につつまれることができましした。

アイルランドは人口600万人の小さな国ですが、緑豊かな、魅力的な場所だと思います。

★今回の教訓:ブライアンの饒舌な語りに感動。しかもアイルランド英語の方が日本人には分かりやすいと思う。グローバルリンガフランカのモデルになるか。

(2019.2.18)

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オックスフォード通信(327/38)Going to Ireland

 アイルランド・ダブリンに来ています

折角なので(これが大事)ダブリンの観光もしてみようと1日早く到着(といっても、日曜日の朝6時半に家を出発してヒースロー空港ターミナル5に到着したのは8時半(毎時30分おきに出ている直通バスがとても便利です)、飛行機に乗ったのが10時50分(ブリティッシュエアウェイズだったのですが、一番後の席で、しかも通路側と真ん中の座席。席を選択しようとしたr £24と法外な値段だったのでそのままに。変えなくてよかったです。何と一番後の座席の窓側は窓がない!その関係で飛行機が離陸したのも着陸したのも振動とアナウンスだけで知る始末。遊園地で暗闇でジェットコースターに乗っているようなもの。いま一歩、飛行機でアイルランドに来たという感じがしません)、3日間乗り放題のチケットでバスでダブリン市内に入り、ホテルに到着したのが午後2時と、やはりイギリスとアイルランドは近い!と思います。

共同研究をしているオックスフォード大のR先生は、飛行機が上がったと思ったらすぐに下がるとおっしゃっておられましたがその通り(といっても、上記の影響で上昇も下降もあまり分からず仕舞い)。

アイルランドの第一印象は、みんなとても親切で誠実と言えると思います。空港のインフォメーションもホテルのフロントも丁寧に対応してくれます。ホテルもこれまで泊まった中で最も高級という部類に入るかもしれません。晩ご飯を兼ねて行ったアイリッシュダンスのショーも、イギリスだったらとつい思ってしまうのですが、比較すると支出が少なく済む一方満足度は2倍くらいあります。

誠実・堅実と言ったらいいでしょうか。R先生にも詳しくダブリンの情報を教えてもらったのですが、17期生のYさんが以前約1年間ダブリンに住んでおられたので事細かく観光スポットやカフェ、晩ご飯の場所をLINEで送って頂いたのがとても参考になっています。

まずお薦めに従い、ギネスストアハウスへ。あのビールのギネスを作っている工場の直営店です。ダブリンのギネスは他とは違うよ・・・聞く人聞く人そう言われたとおり、最上階の6F(=7階)のバーにまず直行して(すいません、説明を全て省いてまず一番上に行きました)360度の眺望を楽しもうとしながら(実際は人が多すぎて景色は一望とはなりませんでした)、入れて頂いたギネスを飲んだのですが、まずてっぺんの泡のきめ細やかさにビックリ。これは明らかにこれまで飲んできたギネスとは違う。そして味もよりこなれた味わいのように感じました(こちらは正直微妙な感じ・それほど私の舌は敏感でないのかも)。ここでもカメラを持っていたら、頼まなくてもスタッフが写真を撮りましょうかと言って親切にしかも上手に撮ってくれる。もうこれだけでダブリンのファンになりました。

街の中心部をながれているLIffey(リフェイ)川には綺麗な水が流れています。アイルランドの首都といってもオックスフォードくらいの感じでバスにも乗っていますが、歩いてでも回れるくらいの規模の街です。

そして夜のアイリッシュダンスのショーでケルトのアイルランドの虜になった感じです。今晩のアイルランドの音楽は、ギターとバンジョーにボーカルという編成なのですが、MC兼ボーカルが何度も言っていましたが、アメリカ、イギリス、オーストラリアなど多くの英語圏の文化はアイルランドから人と一緒に移動したもの又はその影響を強く受けている可能性を強く感じました。音楽しかり言葉しかりです。アメリカのケネディ家に見られるようにアイルランドから何百万という単位でアメリカに移住していますし、移住した後もアイルランドの文化をその場で継承しているケースが多く見うけられます。アイルランドが英語圏文化の核であると言うといい言い過ぎかもしれませんが、それくらい大きなインパクトを与えてきたことはそれほど多くの人が認知してこなかったと思います(私もそうです)。特に音楽はそのままアメリカなどに輸出されてそれがブルーグラスなどとして発展したといってもいいかもしれません。

言葉も面白いところです。アイルランドではCrack (Craic)は挨拶に使われるそうです。通常はよく知られた意味として「ひび割れ」という意味が用いられますが、アイルランドでは、”What is the crack?” で “How’s it going?”(元気)という意味になるそうです。印象としてはアイルランド語(又はゲール語)が話せる人はそれほど多くないようですが、アイルランド語やアイルランドの英語が他の国の英語と微妙に食い違っているのも興味深い点です。

アイルランドは世界各国の英語を母語とする国の原点のひとつであることは間違いないと思います。もう少しアイルランドについて考えてみたいと思います。

★今回の教訓:特に世界で話されている英語とアイルランドの関係は興味深い。

(2019.2.17)

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オックスフォード通信(326/39)iPadの講習会

iPadなんて使い方は知っているはず

と思っていたのですが、ITサービスセンターが手厚く無料で講習会を開くというので1時間のワークショップに参加してきました。

といっても直前だったので、キャンセル待ちという形でしたが、とりあえず朝9時15分からのスタートに間に合うように行ってみました。少し寒い朝でしたので予想どおり5名がまだ来ていないとのこと。来なければウエイティングリストに乗っている私を(本当はキャンセルがあれば連絡が来るようで連絡が来ないウエイティングリストはダメだそうです)入れてくれるとのこと。最初は5分待ってということだったのですが、公式には15分の遅刻までは許されているようで、10分経ったころに、どうぞという話になりました。

ITサービスセンターはスキル習得の殿堂のようなところで、コンピュータを中心にありとあらゆるスキルのワークショップを行っています(以前にも書きましたがここがオックスフォードの世界一たる理由のひとつになっていると思います。だって、博士号を持ったインストラクターが専門に教えている訳ですから。ポスドクではないような気がします)。

さて、あまり期待をせず(すいません)座っているといくつもの目からウロコの部分が。特に、インプットとアウトプットに音声入力・出力がデフォルトの状態でかなり自然にできることにビックリしました。

これまで文字を打つのはiPadではイヤだなと思っていたのですが、キーボード入力ではなくて、音声入力をするのが現在では正解なのかもしれません。もっとも日本語は漢字変換があるので英語ほどスムースではないかもしれませんんが、かなり入力のストレスが軽減されると思います。

またWebの情報を読むよりは読み上げてもらうとより楽になります。この読み上げもコンピュータ色のある声ではありますが、難しい設定をしなくてもスラスラ読んでくれるのにビックリしました。以前なら専用のAppをインストールする必要がありました。

また一番ビックリしたのがカメラです。iPadのカメラは馬鹿にしているところがあったのですが、スキャンするのに丁度いいのかもしれません。講師のインストラクターは友だちが作ってくれたと言って、専用のスキャン台を見せてくれました。その下に本や雑誌を入れるとうまくスキャンができます。その後、Immersive Readerで読み上げるという連携プレーです。ストラテジーでも「連携=組み合わせ(というかその場に適したものを選択する)る」ことが肝要と言われていますが、Appもこの組み合わせはとても効率がいいと思います。

直感的に自分なりに使えるところがiPadをはじめアップル製品のいいところですが、効果的な使い方については誰かに教えてもらわないといつまでも上達しないと悟るところがありました。

★今回の教訓:その他にもホームキーを3回押すと出てくる拡大鏡(設定=>アクセシビリティー)もなかなか。時々、自分の知識とスキルの棚卸しが必要だ。

(2019.2.16)

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オックスフォード通信(325/40)イギリス映画界

ビジュアルイフェクトを手がけるFramestoreの共同創業者のMike McGeeさんの講演会に行ってきました

これまでの講演会とは少し異なる映画界で成功を収めたクリエーターが講師でした。

マンスフィールドカレッジのレクチャーシリーズです。はじめて中に入りましたが、他のカレッジよりも一層機能的かつ近代的な構造になっていると思いました。開始時間ギリギリに到着したのですが、丁度私の前を講師のMikeさんが歩いておられました。

オックスフォードの講演会はパワーポイントが使われることもありますが、どちらかというと日本に比べるとローテクのイメージがあるのですが、マイクさんはクリエーターらしく(ただ後の質疑でタッチタイピングも出来ないしハイテクは苦手なんだと言っておられましたが)、具体的な映像を元にした分かりやすいプレゼンテーションでした。

そして何よりもVisual Effectの舞台裏を見せて頂いたのがとても参考になりました。例えば、映画「Paddington」の中でお風呂に浸かったパディントンが全身を震わせて水をはじくシーンがありましたが、はじめからVEがあるのではなくて、まずそれはモップに水を浸してそれを代用としてモップを震わせて水が登場人物の家族にびっしょりとかかってしまうシーンを撮っておいて、あとからそのモップをCGのパディントンに置き換えると言う手法を取っているとのことです。

はじめからコンピュータ上で何かを作って合成しているのではなくて、実物を媒介して最終的なビジュアルイフェクトを作っている手法が面白いと思いました。だからこそ主人公にもリアルなリアクションが見られるのだと思います。

また、映画「ゼロ・グラビティ」でも主人公のサンドラブロックをモデルに宇宙船と同じような空間を作っておいてそこで撮影をし、その中のものを後からCGで置き換えるという方法のようです。もちろん、宇宙を題材としているものではCGの割合が多くなり顔だけしか最後は残らない状況もあるようです。

これまでビジュアルイフェクトがとてもリアルだと思っていたその秘密が分かったような気になりました。現実にテクノロジーを組み合わせることによってよりクリエイティブな映像が出来上がることは何か示唆的です。テクノロジーだけでもだめで、現実だけでもダメで、そこで2つを掛けあわせることで化学反応が起きる。

具体的にFramestoreが手がけた映画のリストを見せて頂くと、ハリーポッターシリーズから最近の映画はほとんどそうじゃないかというくらいヒット作が含まれています。イギリスの産業な何?とずっと疑問に思っていたのですが、映画の屋台骨を支える技術を担っていたのですね。

オックスフォード出身の Mike さんの落ち着いた話しぶりにも何かヒントを得たような気になりました。

講演の中で紹介された教育によりリアリティをということで

も(16回も無重力を繰り返して取り直したそうです)興味深かったです。Youtubeでお楽しみ下さい。

★今回の教訓:Best experienceはどこから生まれるのか、Mikeさんが強調されたように、PhysicalとDigitalの組み合わせは相性がいいようだ。このような相性のいい組み合わせを考えてみるといいのかもしれない。

(2019.2.15)

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オックスフォード通信(324/41)How to lose a country?

本の著者自らが来られるということで超満員の講演会に行ってきました

オックスフォードのヨーロッパ研究所(オックスフォードには本当に数多くの研究所があって、恐らく全世界が研究できる体制になっているのではないかと疑いたくなるくらいです)主宰ということもあり、Discussantant(指定討論者)もフランスなどヨーロッパ各国から選ばれていました(イギリス人は1/3だけ?)。

トルコの現状を前提に書かれた小説( £10の格安で購入させて頂きました)を元にした講演会というよりは座談会だったのですが、話は ポピュリスムからブレグジット、移民、宗教と幅広いトピックについて議論されました。その中でもポピュリスムとブレグジットにどうしても話が集中するのですが「どうして人間はそれほど愚かになれるのか?」「どうして愚かな考えに人気があつまってしまうのか?」という言葉が印象的です。なぜイギリスがEUから脱退しなければならないのか、今から振り返ってみると、移民問題はあったにせよ、確固とした理由を思い出すことが難しい状況です。どうしてEU離脱の国民投票の際にボリスジョンソンのようなポピュリストに賢明であるはずのイギリス国民が扇動されてしまったのか(座談会ではここまでは言及されていません)。それは第2次世界大戦における反省とよく似たところがあるのがビックリです。

質疑応答の中で移民問題についての質問があったのですが、それに対するEceさんの回答がふるっていました。「・・・ホームという概念は以前よりもずっと流動的で幻想的なものになっているのではないか。イスと同じようなイメージになってきているのではないか。空いているイスに座るだけでそのイスは世界のどこにあってもいい。ランド(=土地)と一対一の関係が崩れてきているのでは。移民というとイギリスへの移民ばかりが問題視されるけれど、イギリス国民もまたEU諸国や世界各国に移民している。今一度、Homeという概念を再定義する必要があるのではないだろうか」うーん、確かになあ、としばらく考え込んでしまう提案でした。

と同時に、文学はこういうことのためにあるのだなと思いました。正直なところ、文学は古来から各国でリベラルアーツの根幹に据えられてきているのに、なかなかその文学の現代的な意味や価値を認識させてくれる文学者にそれほど多く出会ってこなかったので(すいません)、小説をもとにこのような議論が展開されるのを目の当たりにすると、文学はやはりすごいと思わざるをえません。虚構の世界を作り上げる意味は現実を議論するためにある、のではないかと思いました。

指定討論者の一人が「Eceさんは怒ると笑うよね」と言っておられたのも印象的でした。怒ると怒るのではなくて笑い飛ばす方がインパクトがあります。

2時間で読めるよ、といわれていましたので、週末、ダブリンへ行く機内で読んでみたいと思います。

★今回の教訓:それにしてもヨーロッパの人々は奥深く、知恵があると思う。今回のオックスフォード滞在でイギリス人やイギリスの文化・風土にも大いに感銘を受けたが、それ以上にヨーロッパという存在に目を開かされる場面が多かったように思う。改めてヨーロッパについてもっと深く知りたいと思う。

(2019.2.14)

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オックスフォード通信(323/42)自転車のチェーン

急いでいるときに限って、ということがあります。

共同研究をしているH先生とのミーティングの時間に遅れると思って、さあ自転車で7分で到着と意気込んで自転車置き場に急いで行ったところ、何かバイクの雰囲気がおかしいのです。この自転車置き場は鍵も掛かっていて外部から入ってくることは不可能なのでいたずらということはまずないのですが、おいてあった自転車のチェーンが大きくはずれていました。

少しくらいなら直せるのですが、大幅にはずれているので3分くらいで見切りを付けて、近くの(有り難い!)サマータウンサイクルに持ち込みました。油で真っ黒になった手を洗わせて欲しいと、奥のトイレで手を洗って戻ってくると元の状態に。流石プロですね。 £2お支払いしてミーティングの時間に間に合いました(といってもこのような時に限ってH先生の前の予定が伸びて結局時間が余ることに)。巡り合わせとは不思議なものです。

★今回の教訓:H先生は教育学部でも超人気の先生。でも忙しくてもいつも気さくに笑顔で誰にでも対応される誠実な姿勢には頭が下がる。私もまだまだだと思う。見習いたいものだ。

(2019.2.13)

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オックスフォード通信(322/43)Turnitup

ITサービスセンターが主宰の剽窃(Plagiarism)についてのワークショップに参加してきました。

Plagiarismは日本だけでなく、イギリス、アメリカどこの国でも大きな問題になっています。特に、アカデミックな世界では、学生が(まあ、教員も問題になっていますが)書いたレポートがどれだけオリジナルかというのは、インターネット(情報の共有)やデジタル化(情報のコピー)が発展する中で大きな問題になっています。

オックスフォードでは、Turnitup というソフトを導入してるそうでその使い方と効用についてのワークショップでした。実際に、私も本年度のゼミメンバー(18期生)が書いた卒論で試してみましたが、その威力はすごいと思いました。最初、間違えて日本語の文書を入れてしまったのですが、その場合でも日本語の論文データベースと照合してどれほど引用されているかと%で表示してくれます。

もちろん、剽窃と言っても、きちんとした手法を取っていれば(引用、文献の明示)問題ないのですが、本文中の文章がどれだけ本人によって書かれているかが分かるのが面白い所です。

J先生はワークショップ後も使える設定にしておいてくれた関係で、17名全員の卒論をチェックすることができました。25%未満であれば、全く問題なしということですが、7%~16%の間で全員収まっていました(安堵)。と同時に卒論の単語数も自動的にカウントしてくれるのですが、平均で9650 wordsも書いていることにビックリしました。これは表紙からレファレンス、アペンディックスまで全て含んでの単語数ですが、3000 words以上という条件を3倍以上オーバーしていることに改めて衝撃を受けました。よく頑張ったのですね(卒論の個々の評価は卒業式で、卒論と一緒にお返しします)。

ちなみにこのTurnitupは大学など学校単位でないと契約できない仕組みになっているようです。日本では関学が加入しているようです。

★今回の教訓:レポート評価でインターネットからコピーしたかどうかなどよく大学でも問題になるが、「・・・と思う」ではなくて「・・%」と数値で明示しなくてはこれからは学生を納得させられないのではないか、と思う。

(2019.2.12)

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オックスフォード通信(321/44)高等教育についてのセミナー

本年はオックスフォード大学・教育学部が100周年記念ということで力の入った講演会が時々はいっています

本日は、イギリスの大学進学(高等教育)の現状について、ヨーク大学のP先生が分かりやすく、具体的な数値をもとにお話になりました。ほぼ予測はついていたにせよ、大学進学と親の収入の相関関係は高く、高等教育の公平さという点で問題があることが明確に提示されていました。その傾向は年々ハッキリしているようで、奨学金や政府からのサポートが追いついていない状況です。

それは日本でも同じ状況が生まれているわけですが、興味深かったのは、大学院になると「U字カーブ」を描き、親の収入の影響は一旦下がり、また博士課程になるとあがるという点です。学部を卒業して更に大学院にまで進学する学生はそれなりの高い志と能力が必要となるということなのでしょう。

いつもの講演会と同様だろうと思って、5分間に会場に到着したのですが、すでに座席は満杯、私よりも後から来た人は立錐の余地もないくらいの混雑でした。それだけ関心が高いということなのでしょう。

最後に提案として、今後の大学入試では、郵便番号で地域の差(地域によって貧富の差がある)も縮めていく必要があるとされていていたのは興味深かった点です。

★今回の教訓:学費が一番の問題になる点だが、イギリス人で £9000(約130万円)、EU加盟国で・・・その他の外国人で・・・と、国籍別に分けている点も問題ではないかと思う

(2019.2.11)

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オックスフォード通信(320/45)Baftas

72nd The British Academy of Film and Television Arts (Baftas) 授賞式が行われています

アメリカのアカデミー賞のイギリス版です。BBCが生中継をしています。雰囲気はアメリカの授賞式よりも少し控えめですが、イギリスらしく落ち着いた雰囲気で進められています。

観ていない映画も音楽賞、衣装賞などを受賞していますが、注目していた音楽賞はボヘミアン・ラプソディ、主演男優賞は同じくボヘミアン・ラプソディのRami Malekが受賞しました。

映画の熱演からも当然のように思います。受賞スピーチでRami はアウトサイダーの自分が偉大なアクターの仲間入りが出来て光栄だと言っていたのが少し意外な感じがしました。両親がエジプトからの移民という意味で言っているのでしょうか。彼を最初に見たのはトムハンクスの「Larry Crowne」でのSteve役です(最初はなかなかこの2人が結びつきませんでした)。

途中ではスピーチに、ウイリアム王子(Duke of Cambrige)も登場するなど見ていて飽きさせません。また今年亡くなった映画人では、日本の高畑勲監督も紹介されていました。

作品賞の「Roma」など見ていない映画も多いので是非機会を見つけて見てみたいものです。

★今回の教訓:イギリスのアカデミー賞は何か品格を感じさせる。いい演出だと思います。

(2019.2.10)

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オックスフォード通信(319/46) YarntonとWoodstock

アンティークにそれほど興味があるわけでもないのですが、オックスフォード近郊のヤーントン(Yarnton)まで出かけてきました

オックスフォード周辺に限らずイギリスにはアンティーク・センターなるものがあります。そこでは、木製製品から金属製のもの、服飾、装飾品からカレンダー(昔の・1989年のサンダーバードのカレンダーを見つけました!)から切手、葉書、トランプ、ロウソク、お皿、カップなど人間の生活に関連するものであればありとあらゆるものが売ってあるといっても過言ではありません。もちろん、そこには数は少ないですが、本も売ってあります。

春にお世話になったビアトリクス・ポターの専門家のK先生にいろいろと教えて頂いたお陰で、ピーターラビットにも興味が芽生えたのですが、そのピーターラビット関連の絵の額や絵本も売ってありました(残念ながら2000年以降の出版であまり価値がありそうではありませんでした)。

1時間ほど60軒もあるという店(コーナー)を冷やかした結果、歴代の王・女王が一覧で分かる古本と小さなピクチャーディクショナリーを購入しました。

来るときには嵐のような天気も帰りには青空が広がっていました。さらに近郊のWoodstock(ウッドストック)まで足をのばすとブレナムパレス宮殿側に落ち着いた街並みが広がっていました。

★今回の教訓:イギリスは郊外も美しい。特に雨上がりの青空はとてもいい。

(2019.2.9)

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オックスフォード通信(318/47)カレッジランチ

オックスフォードの博士課程で研究をしておられるNさんにLinacre Collegeのランチにご招待し頂きました

 オックスフォードは珍しく台風までは行きませんが風が強く雨も横殴りという感じでしたが、お昼に教育学部前で待ち合わせて、カレッジパークを横切り、リネカーカレッジまで10分程度です。

到着したときにはカレッジの学生がシャッターが開くのをキューを作って待っていました。Nさんがおっしゃる通り、リネカーカレッジの料理はとても美味しくお昼にこのような栄養たっぷりの食事が取れるのはカレッジの特権だと思います。私は学部の所属のみでこのような機会でないとカレッジの中に入ることがありませんのでとても貴重な経験です(春には同じカレッジのディナーにH先生にご招待頂いています)。

 私はビーフの煮付けにまるごとのポテト、アップルケーキを頂いたのですが、レストランと同じレベルのとてもいい味付けです(Nさんはツナステーキ)。その後はラウンジでコーヒーを頂きました。

 大学生活の基盤となるカレッジ。やはりオックスフォードは学ぶ環境をうまく調整している大学だと再認識しました。

★今回の教訓:支払いは学生証で(Nさんご馳走さまでした)。システムが上手く出来上がっている。同志社女子大学のカフェテリアに比べてメニューは少ないけれど不満はない。日本の大学もメニューをもっと絞ってその分、質の向上に力を注ぐ方がいいかもしれない。

 (2019.2.8)

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オックスフォード通信(317/48)インフルエンザは流行しない in UK

オックスフォードには学生が一杯ですがインフルエンザにかかっている人を目にしません

もちろん、インフルエンザにかかっている人は出てこないので目にしないのでしょうが、日本のように爆発的に流行しているというニュースも聞きませんし、回りでも感染したという話をほとんど聞きません。

これはひとえに、イギリスの雨の恵みだと思います。日本の冬は乾燥しているのがあたり前ですが、イギリスでは毎日は言い過ぎですが、2日に1回はどこかで雨が降っています。といっても日本のような振り方とは異なり、短い時間さっと降るという感じで傘をさす程でもありません。運が悪いと自転車を乗り始めたときには降っていなくても途中で降られるということがあります。

昨年夏の小雨で枯れてしまっていた芝生もいつの間にかどの場所でも復活しています。これは誰かがが水をまいたのではなくて天の恵みなのですね。冬なのにどこも芝生は色を塗ったように青々としています。

当然、湿り気も多いので、インフルエンザの菌が空気感染する率も減ってくるのだと思います。12月末から珍しく風邪を引いてしまったのですが、このような風邪引きはあるにしても、インフルエンザが大流行するということはないようです。

図書館で咳をしている人もいますが日本のようにマスクをしている人はいません。大学院2回生の千代間さんがマスクについての国際比較を研究していますが、なるほどと思います。

地震もなく台風や土砂崩れのような大きな災害もないイギリス。おまけにインフルエンザも花粉症もないのですから、外的条件としてはとてもいい環境といえるのでしょう。

★今回の教訓:インフルエンザが流行しないだけで大学の活動も随分円滑になる。病気が流行らないのはいいことだ。

(2019.2.7)

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オックスフォード通信(316/49)オックスフォードでの研究

オックスフォードでの研究は主として図書館で行っています

ボードリアン図書館にはいろいろな場所があります。もちろん教育学部の図書館もいいです。検索しても結局、必要な本は教育学部にあることが多いです。Noham Roadに面したReading Roomは集中して静かにものを考えるのにはいいところです。

自然史博物館の横にあるボードリアン図書館の分館もいい感じです。理系の本が並んでいますが、机が大きくて雄大にものを考えることができます。

ただ何といっても一番、落ち着くのはボードリアン図書館のラドクリフカメラです。オックスフォードのランドマークにもなっていて、観光客が回りを取り囲んでいますが、中は話し声ひとつ聞こえない真剣なムードが漂っていて何かいいアイディアが浮かんできそうな気に、いつもなります。

上階の1F, 2Fもいいのですが、地上階の薄暗い雰囲気がとても気に入っています。少し暗い方が集中できます。ほぼいつも満員ですが、少し探すとどこかに空いている席があります。ただ、最大の難点はWifiが弱いことです。オックスフォード全体でWifiの電波は弱いのですが、このラドクリフカメラは石造りのせいか、電波が届きにくいのか内部でうまく伝わらないのか分かりませんが良く途切れます。

明日もラドクリフカメラの予定です。

★今回の教訓:集中できる場所をいくつか持っておくことは重要。

(2019.2.6)

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オックスフォード通信(315/50)Wakazemi 18th in Oxford

18期のメンバー3名がオックスフォードまで遊びに来てくれました

ロンドン、パリ、ローマを巡る卒業旅行中の3名ですが、わざわざオックスフォードまで足をのばしてくれました。これまで、インターネットを通してi-Seminarで話をしてきましたが、実際に対面でお話しするのはほぼ1年ぶりです。

インターネットでも十分コミュニケーションできると思ってきましたが、対面式のコミュニケーションには「感動」が増加します。インターラクションがスムーズ、聞いたことに即座に反応ができます。それ以上に一緒に笑うことが多くありました。握手も。あらためて実際に会って話をすることがいかに重要か実感することができます。

本人達の日頃の行いが良いのか、天気予報の雨も降らず、それほど寒くもない曇り空の中、University CollegeのSt. Mary’s Churchからスタート。ラドクリフカメラ、ボードリアン図書館、Divinity School、Bridge of Sigh、シェルドニアンシアター、カバードマーケット、Cowley とOxfordの境界線の橋、Magdalen College, Christ Church College, Merton College, Old bank hotel, Oxford University Press, University of Oxford official shop, Corn Market Street, Starbucks coffee, Blackwellなどを一緒に回り、最後はWig and Penことができました。

オックスフォードの見学をしながら若ゼミの事・メンバーの話に花を咲かせるという感じで、あっという間に日没の午後5時に。またたく間に時間が過ぎ去っていきます。あのエネルギーをつぎ込んだ卒論があるからだとも思いますが、今から振り返ると、その卒論も含めて、全てが楽しかった思い出に変換されていくのが面白いところです。

一緒に2年間、若ゼミでいろいろな活動をしてきて良かった、と改めて思いました。来てくれたのは3名ですが、その後に14名のメンバーの顔を見るようでした。一緒に苦労をともにしたメンバーはいいな、と思います。天正遣欧少年使節団ならぬ、若ゼミ遣英使節団という感がしました。話はいつしかそれぞれの卒業後や来年度のゼミのことにも及びました。来年度は19名の19期生とゼミを展開するのですが、課題は18期生の成果と私のオックスフォード大での研究をいかに19期生に引き継ぐのかという点にあると思います。「私がいない状態」をいかに作り出してゆくか、いろいろと話が盛り上がりました。

3名と大笑いしなが、内なるパワーがまた湧いてくるようでした。

Thank you!

★今回の教訓:立場は異なれ一緒に何かに取り組むことは大切だと、あらためて思う。

(2019.2.5)

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オックスフォード通信(314/51)National Gallery

ロンドンのナショナル・ギャラリーに行ってきました

イギリスが寛大だと思うのは、大英博物館にしてもこのナショナル・ギャラリーにしても入館料が無料ということです。最も最近ニュースで報じられたように、大英博物館のモアイ像を返却して欲しいとモアイの州知事が涙ながらに訴えたように、ロゼッタストーンにしてもこのモアイ像にしても大英博物館の多くの展示物が往年の大英帝国が各国で略奪してきた事実は覆い隠すことができないので(この博物館で展示してあるお陰で保存状態がよく現存しているという擁護論もある)、無料というのはある意味当然かもしれません。

さて、ナショナル・ギャラリーのお目当ては多くの人と同様にゴッホの「ひまわり」です。ナショナルと名前がついている用にほぼ全体はイギリスの画家の作品が展示してあります。例えば、ターナーの作品は独特の優しさと風景との一体感があって好きです。ということもあり、ピカソやルノワール、ドガなどのイギリス人ではない画家の作品が一部屋にまとめて展示してあります。これはナショナル・ギャラリーの大きな特徴です。

他のイギリス人画家の展示は天井も高く仰々しい素晴らしい展示室にあります(作品よりもその部屋の建物の様子の方がインパクトがある感じがする)。しかし、ゴッホなどの作品をみるのにはこれほど適した美術館はないかもしれません。何しろ一部屋で、見たい絵が全部見れるのですから。

この部屋でも一際人だかりが出来ていたのが、もちろんひまわりです。人が途切れません。私は真ん中に置いてあるチェアに腰を下ろし30分くらいボウッとこの絵を見ていたのですが、この絵には不思議な魅力があることに気づきました(2020年に世界初のナショナル・ギャラリー展として東京と大阪で展示会が開催されるとのことですが、このように長時間座ってみることはここでしかできない贅沢かもしれません)。

まず、黄色の向日葵に同系色の金色のバック、テーブルも黄色系を少し濃くした茶色です。特に、向日葵に金のバックはないだろうと思いますが、そうすることによって向日葵の明るさと限界がうまく示されているように思いました。ひまわりをよく見ると10個以上の房があり、真っ盛りのものも、もうすぐ咲く蕾のものも、もう峠を越えて頭が下がっているものもあります。でもひまわりとしては不滅の明るさを証明しているようでもあります。ここにひまわりの真実があり、ゴッホはその真実を上手く絵で表現しているのでしょう。

その横にはゴッホが亡くなる年に書かれた地面の草と花、そして蝶々が描かれた絵が掛けられています。この絵はそれほど有名なものではないのでしょうが惹きつけられるものがありました。何もない草の生えたただの地面ですが、ゴッホはそこに何かを表現したいものを見つけたのでしょう。それは恐らく、どこにも、生があるということなのではないでしょうか。地面を緑一杯にする草、花。それは地面とつながっているからこそ強い生命力がある。ゴッホは本能で描いたのでしょう。描かざるを得なかったのでしょう。その横のドガは踊り子の姿を多く描いています。彼らに多分「何故?」という質問は当てはまらないのでしょう。描きたいから描く。でもそこには描きたいと思わせる何がある。それを上手く表現できたとき、このような多くの人を集めるのでしょう。

描きたいから描く、そこに言葉にできる理由はないと思います。丁度、写真を撮る時に、これは!と思う直感と似ているように思います。帰国までにもう一度は来てみたいと思いました。

★今回の教訓:ひまわりはやはり良かった。

(2019.2.4)

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オックスフォード通信(313/52)Tea

イギリスに来てから外ではコーヒーではなくティーを注文する事が多くなっています

日曜日、仕事の合間に、CotswoldsのBurfordまで昼食を兼ねたアフタヌーンティーをしようとでかけました。2日前の雪がまだ残っていてA40(ハイウエイ)の片側車線や側道にはまだ雪が残っています。このような状況でも、相変わらず私以外の車は時速120キロ以上で飛ばしていきます。

Burfordはお気に入りのコツウォルズです。もう5回目くらいになるでしょうか。まず、近い。Door-to-doorで30分で到着です。次に街並みが何度見ても飽きないくらい綺麗。坂道に家々が並んでいるので、到着する際、坂の上から街並みを見下ろすことになります。恐らく100年前と変わらぬ風景だと思います。そして、Huffkinsの本店がある。ここのスコーンはイギリスに来てはじめて美味しいと思ったものです。

この日はHuffkinsのドアを開けると満席。でも窓側の席がすぐに空くとのことで、すぐに通してもらいました。通りを眺めながら、Huffkinsでは2番目に軽い(2段)アフタヌーンティーを注文。問題はティーの種類。前回はアッサム、前々回はアールグレイ。今回は、少し変わったところで、Girlie Greyをお願いしました。これはレモンなどいろいろなフレイバーがミックスしてあるのですが、味は少し甘さと酸っぱさが入り交じったものです。写真のようなポットに入れて出してくれますので(今回はお願いしませんでしたがお代わりのお湯も無料で頂けます)優に4杯は頂くことができます。最初はストレートで、2回目はミルクを入れて(ミルクを先に入れてからティーの順が正統らしい)、3回目はシロップを入れて(あまり甘くないので結果的に沢山いれることに)、4回目はもう一度ストレートに戻って、などいろいろと楽しむことができます。

頂きながら、毎回思うのですが、水のせいでしょうか、コーヒーよりも断然ティーの方がイギリスでは美味しいのです。もし、私がこれからイギリス文化を研究するとしたら「なぜイギリスではコーヒーよりもティーの文化が発展したのか」をテーマにしたいくらいです(もう解明されているのかも)。

ここでティーを頂くと頭もスッキリして、また仕事がはかどります。日も長くなってきました。午後5時くらいまでは明るいです。そろそろ春の声が聞こえてきそうです。

★今回の教訓:日本では滅多に見ないが、アメリカのGoundhog dayの伝統行事をニュースでしていた。日本の節分など、この立春前後には世界中に興味深い伝統行事がある。

(2019.2.3)

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オックスフォード通信(312/53)脱力系クラッシック・コンサート

夜、7.30から近くのチャーチで開催されたコンサートに出かけてきました

歩いても10分少々なのですが、あまりに寒いので “Return Ticket”(往復券)を買ってバスに乗って出かけてました。Linton Roadにある教会ですのでサマータウンからは目と鼻の先という距離です。オックスフォードのバスには、大きく3種類あって、”Single Ticket” (片道券)、“Return Ticket”(往復券)、それに“Day Ticket”(一日券)です。この順に料金があがっていくのですが、3回バスに乗るなら断然一日券がお得です。と言うのも、イギリス的合理的な発想なのか、この1日というのが24時間になっているので、例えば、2月2日の午後7時にチケットを購入すれば、翌2月3日の午後6時59まで有効ということになります。ちなみに、オックスフォードからヒースロー空港やロンドン・ビクトリアステーションに行く場合には、信じられないのですが、片道チケットと往復チケットの料金差が £2くらいしかないので、往復する気なら(まあ空港に本人が出かける際には片道チケットということが多いですが)リターンチケットを買うべきです。

さて、予約大国のイギリスなので、席がなかったらどうしようと思い、Webのアドバイスに従いテキストで予約を申し込んだのですがなしのつぶて。少し早い目に行こうと教会に着いたのが25分位前です。少し愕然としました。教会内には多くの席が用意してあったのですが前の方にパラパラと人がいる程度。ピアノの独奏があるので前2列は空けておいてね、と言われたのですが、どこにでも座れる状況。これは予約の返事も来ないはずと。

料金は £7と思って、自信をもって二人分で £15渡すと怪訝そうな顔をされます。そうか、お釣りは献金しろということなんだなと思って言いかかったところで、一人 £10なので足りないと。

さて、leader(イギリスではコンサートマスターのことをこう言います)が入場して、指揮者の女性が入ってくると演奏の開始です。最初はメンデルスゾーンです。耳を疑いました。全然、音程が合っていないのです。専門家でない私でもそれくらいハッキリ分かるハズレ方です。どおりでオーケストラが最初に行う音合わせをしないはずです。そのままメンデルスゾーンは終了。2曲目のベートーベンピアノコンチェルト4番はピアノの独奏の男性ピアニストが登場。これは流石、ピアニストが上手い。するとどうでしょう、オーケストラ(一応フル編成ですが、人数は通常の半分くらい)の音程も合ってくるのです。不思議なものです。

休憩時間にはワインのサービス( £2)もありこれは後半が期待できると思った途端、後半はまた最初と同様にガタガタです。ただ、不思議なのは演奏している人達に悲壮感は全くなく、喜々として楽しそうに演奏していることです。中には足を組んで演奏しているビオラ奏者の女性もいます。

この雰囲気どこかで見たことがある。どうです、夏の脱力系ドッグショーです。素晴らしいパフォーマンスをする事以上に参加することが重要なのです。それが分かってからはなるほどと思いながら最後まで演奏を楽しませて頂きました。聞いている方も怒る人は一人もなく、休憩時間にも奏者と談笑しています。もちろん、アマチュアの演奏者なのですが、一人1500円くらいの入場料も取っています。日本ならきっと怒ってくる人がいるだろうなと思って聞いていました。

論理は飛躍しますが、民主主義でもドッグショーでもオーケストラでもまず参加することが重要なのです。これは我、同志社女子大学の大学祭EVEにも当てはまります。「見に来た」人の中には他の大学の学園祭と比較して活気が少ないことに不平をいう人がいます。特に、在学生。でも、「実際に参加している人」はこれほど楽しい大学祭はありません。

おなじなんだな、と思いながら演奏を楽しませて頂きました。イギリスにはシリアスなものもありますが、このおうな脱力系のパフォーマスがよくあるように思います。そこには演じている人とみている人の距離が近いのもいいところです。

実際、この日ほど近くでピアニストがピアノコンチェルトを演奏するのを見たことがありません。いい経験をさせて頂きました。

★今回の教訓:脱力するといいことが見えてくる。

(2019.2.2)

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オックスフォード通信(311/54)大雪

 オックスフォードは雪の一日でした

BBCではあちらこちらで雪のため車が立ち往生してしまったり、学校のバスが渋滞に巻き込まれて帰れなくなったため近くの大学の寮に泊まったなど、テレビはBrexitは一服、雪と悪天候の話ばかりです。

小中学校も休校になったところが多くあるようで、オックスフォードの街もいつもよりもひっそりとしてようです。夕方、近くのコーヒーショップ(コスタ)に出かけたのですが、今日は6時には店を閉めるとのこと。どこも早じまいという感じです。

2月は少し静かなスタートです。

少し論文を読みまとめるスピードを上げなければなければなりません。

★今回の教訓:案外雪の方が集中できるから面白いものです。

(2019.2.1)

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