オックスフォード通信(356/09)i-Seminar 卒業式・学位授与式

本日は若ゼミ18期生の卒業式です

本日、ご卒業の17名の皆さん、ならびに英語英文学科を卒業されるすべての学生の皆さんに心よりお祝いを申し述べます。

同志社女子大学のご卒業おめでとうございます!

ゼミのメンバーには シンプルですが、“Congratulations!” と “Well done!” という言葉しか思い浮かびません。18年間の割と長いゼミの歴史の中で私が不在というある意味では最も危機的な状況でしたが、最も成功したゼミのひとつになりました。

先日、オックスフォード大のK先生とパブでビールを飲みながら、先生にとってはパラドックスが研究の大きな鍵を握っているというお話を伺いました。パラドックスは社会学だけでなく教育の世界にも当てはまりそうです。

まさに「教師がいないことが一番いい効果を産んだ」というパラドックスが当てはまる一年だったのかもしれません。私がいない分、責任感と当事者意識をそれぞれのゼミメンバーが持つなかで、互いに協力・サポートをしながら、卒論提出という栄光のゴールを勝ち取ったのだと思います。従来の私がいて卒論を完成した場合と比較して格段にその達成感は高いものになったと思います。自己効力感だけでなく、ゼミというグループに対する集団効力感も高くなったのでしょう。

毎年思うことですが、特に今年の18期生を見ていて「若者の可能性は素晴らしい」と思います。私の好きな映画『同胞(はらから)』(山田洋次監督)の最後に演劇を招聘した村の青年部のメンバーに河野さん(倍賞千恵子)が「若者の可能性ってすごいのね。この仕事をしていていつもそう思うけど、今回特に実感したわ・・・」とつぶやくシーンがあります。まさに同じ気持ちです。

そしてこの映画で河野さんが青年部のみんなを突き放すなかで、それぞれが成長していったことを思い出します。若者は突き放してこそ成長するのかもしれません。ほったらかしでもいけませんが、過保護も成長を妨げるのかもしれません。若木は嵐に育つ、という例えもあります。困難を乗り越えたところに大きな成長が待っているのだと思います。それはこれからの人生においても同じであると思います。

18期生は教師としての集団指導のありかたについても輝かしい示唆を私に与えてくれました。教師のサガではありますが、そのように大きく成長したゼミメンバーが卒業してゆくことは喜ばしく、誇らしいことではありますが、一方で一抹の寂しさも募ります。

この若ゼミ18期生を2年間担当させて頂いたことを誇りに思います。

すばらしい学生諸姉に出会うことができました。

すばらしい2年間を一緒にすごすことができて幸せに思います。2年間のすべてのプロジェクトに意味があったと思っています。満足感で一杯です。

18期生、ひとりひとりを誇りに思っています。

「旅の終わりは新しい旅のはじまり」でもあります。涙をこらえ、笑顔で17名のゼミメンバーを同志社女子大学から送り出したいと思います。

最後になりましたが、この2年間、若ゼミ18期生をサポートしてくださった皆様に感謝申し上げます。若ゼミの卒業生のみなさん、ありがとうございました。大川写真店様にはいつも綺麗な写真を瞬時に焼き増しして頂いております。本年もありがとうございました。若ゼミ18期生の授業をこの1年日本で担当してくださったS. Kathleen Kitao教授、TAとして1年間、親身になってゼミのアシストをしてくださった加藤澪さん、ありがとうございました。そしていつも深い理解と温かいサポートしてくださったゼミメンバーのご家族の皆様に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

そして、これからも、いつも、

Never miss an opportunity to be fabulous!

PS. 卒業記念パーティーの後半、i-SeminarらしくLINEビデオをつないでくれました。リアルタイムでお祝いをいうことができて良かったです。This is Seminar 18 signing off!

★今回の教訓:「若ゼミの2年間を終えて」というエッセイ(非公開)を17編読ませて頂いた(2月末提出)。どれも力作で涙なしには読めなかった。世界一のゼミだと思う。

(2019.3.18)

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オックスフォード通信(337/28)豊かな大学生活

ラドクリフカメラの前にあるBrasenose Collegeの中庭を散策しました

Witch’s shot も少し和らいできたので(くしゃみはダメです、先ほど気をつけてしたのですがかなり元に戻った感じがします)、日頃お世話になっている ラドクリフカメラの前にあるBrasenose College の校門をくぐってみました。

オックスフォード大学はオックスフォード大学というカレッジはなく(ダブリンのトリニティーカレッジは違う)38あるカレッジの集合体をオックスフォード大学と称しています。私は教育学部の所属でカレッジには所属していないのですが、オックスフォード大学のIDでどのカレッジにも足を踏み入れることができます。

今週は2月としては史上最高の気温と天気予報が報じるくらいの温かい日差しが緑の芝生に注ぎ込んでいます。Brasenose College の中は外の喧噪とは別世界で中庭で学生が本を読んだりラップトップをいじったりしています。また談笑している学生も見うけられます。もちろん真ん中には正方形(長方形)の芝生が。

このような豊かな環境は健全な考えも育むだろうなあ、としみじみ思います。壁には大きな日時計も。時間がゆっくりと豊かに流れているように思います。ここからみるラドクリフカメラはまた一段と学問の偉大さを誇示しているようにも見えます。

★今回の教訓:伝統とは時間を緩やかに流すことかもしれない。世の流行とか一時的な喧噪に時間と気を取られることなく、人生や学問の本質に目を向けるようにすることこそ伝統の良さだろう。オックスフォードは学生にその伝統に向き合うようにうまく住環境と学問環境を整えている。その意味では京都にある大学にはいい条件がそろっていると思う。

(2019.2.27)

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オックスフォード通信(327/38)Going to Ireland

 アイルランド・ダブリンに来ています

折角なので(これが大事)ダブリンの観光もしてみようと1日早く到着(といっても、日曜日の朝6時半に家を出発してヒースロー空港ターミナル5に到着したのは8時半(毎時30分おきに出ている直通バスがとても便利です)、飛行機に乗ったのが10時50分(ブリティッシュエアウェイズだったのですが、一番後の席で、しかも通路側と真ん中の座席。席を選択しようとしたr £24と法外な値段だったのでそのままに。変えなくてよかったです。何と一番後の座席の窓側は窓がない!その関係で飛行機が離陸したのも着陸したのも振動とアナウンスだけで知る始末。遊園地で暗闇でジェットコースターに乗っているようなもの。いま一歩、飛行機でアイルランドに来たという感じがしません)、3日間乗り放題のチケットでバスでダブリン市内に入り、ホテルに到着したのが午後2時と、やはりイギリスとアイルランドは近い!と思います。

共同研究をしているオックスフォード大のR先生は、飛行機が上がったと思ったらすぐに下がるとおっしゃっておられましたがその通り(といっても、上記の影響で上昇も下降もあまり分からず仕舞い)。

アイルランドの第一印象は、みんなとても親切で誠実と言えると思います。空港のインフォメーションもホテルのフロントも丁寧に対応してくれます。ホテルもこれまで泊まった中で最も高級という部類に入るかもしれません。晩ご飯を兼ねて行ったアイリッシュダンスのショーも、イギリスだったらとつい思ってしまうのですが、比較すると支出が少なく済む一方満足度は2倍くらいあります。

誠実・堅実と言ったらいいでしょうか。R先生にも詳しくダブリンの情報を教えてもらったのですが、17期生のYさんが以前約1年間ダブリンに住んでおられたので事細かく観光スポットやカフェ、晩ご飯の場所をLINEで送って頂いたのがとても参考になっています。

まずお薦めに従い、ギネスストアハウスへ。あのビールのギネスを作っている工場の直営店です。ダブリンのギネスは他とは違うよ・・・聞く人聞く人そう言われたとおり、最上階の6F(=7階)のバーにまず直行して(すいません、説明を全て省いてまず一番上に行きました)360度の眺望を楽しもうとしながら(実際は人が多すぎて景色は一望とはなりませんでした)、入れて頂いたギネスを飲んだのですが、まずてっぺんの泡のきめ細やかさにビックリ。これは明らかにこれまで飲んできたギネスとは違う。そして味もよりこなれた味わいのように感じました(こちらは正直微妙な感じ・それほど私の舌は敏感でないのかも)。ここでもカメラを持っていたら、頼まなくてもスタッフが写真を撮りましょうかと言って親切にしかも上手に撮ってくれる。もうこれだけでダブリンのファンになりました。

街の中心部をながれているLIffey(リフェイ)川には綺麗な水が流れています。アイルランドの首都といってもオックスフォードくらいの感じでバスにも乗っていますが、歩いてでも回れるくらいの規模の街です。

そして夜のアイリッシュダンスのショーでケルトのアイルランドの虜になった感じです。今晩のアイルランドの音楽は、ギターとバンジョーにボーカルという編成なのですが、MC兼ボーカルが何度も言っていましたが、アメリカ、イギリス、オーストラリアなど多くの英語圏の文化はアイルランドから人と一緒に移動したもの又はその影響を強く受けている可能性を強く感じました。音楽しかり言葉しかりです。アメリカのケネディ家に見られるようにアイルランドから何百万という単位でアメリカに移住していますし、移住した後もアイルランドの文化をその場で継承しているケースが多く見うけられます。アイルランドが英語圏文化の核であると言うといい言い過ぎかもしれませんが、それくらい大きなインパクトを与えてきたことはそれほど多くの人が認知してこなかったと思います(私もそうです)。特に音楽はそのままアメリカなどに輸出されてそれがブルーグラスなどとして発展したといってもいいかもしれません。

言葉も面白いところです。アイルランドではCrack (Craic)は挨拶に使われるそうです。通常はよく知られた意味として「ひび割れ」という意味が用いられますが、アイルランドでは、”What is the crack?” で “How’s it going?”(元気)という意味になるそうです。印象としてはアイルランド語(又はゲール語)が話せる人はそれほど多くないようですが、アイルランド語やアイルランドの英語が他の国の英語と微妙に食い違っているのも興味深い点です。

アイルランドは世界各国の英語を母語とする国の原点のひとつであることは間違いないと思います。もう少しアイルランドについて考えてみたいと思います。

★今回の教訓:特に世界で話されている英語とアイルランドの関係は興味深い。

(2019.2.17)

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オックスフォード通信(315/50)Wakazemi 18th in Oxford

18期のメンバー3名がオックスフォードまで遊びに来てくれました

ロンドン、パリ、ローマを巡る卒業旅行中の3名ですが、わざわざオックスフォードまで足をのばしてくれました。これまで、インターネットを通してi-Seminarで話をしてきましたが、実際に対面でお話しするのはほぼ1年ぶりです。

インターネットでも十分コミュニケーションできると思ってきましたが、対面式のコミュニケーションには「感動」が増加します。インターラクションがスムーズ、聞いたことに即座に反応ができます。それ以上に一緒に笑うことが多くありました。握手も。あらためて実際に会って話をすることがいかに重要か実感することができます。

本人達の日頃の行いが良いのか、天気予報の雨も降らず、それほど寒くもない曇り空の中、University CollegeのSt. Mary’s Churchからスタート。ラドクリフカメラ、ボードリアン図書館、Divinity School、Bridge of Sigh、シェルドニアンシアター、カバードマーケット、Cowley とOxfordの境界線の橋、Magdalen College, Christ Church College, Merton College, Old bank hotel, Oxford University Press, University of Oxford official shop, Corn Market Street, Starbucks coffee, Blackwellなどを一緒に回り、最後はWig and Penことができました。

オックスフォードの見学をしながら若ゼミの事・メンバーの話に花を咲かせるという感じで、あっという間に日没の午後5時に。またたく間に時間が過ぎ去っていきます。あのエネルギーをつぎ込んだ卒論があるからだとも思いますが、今から振り返ると、その卒論も含めて、全てが楽しかった思い出に変換されていくのが面白いところです。

一緒に2年間、若ゼミでいろいろな活動をしてきて良かった、と改めて思いました。来てくれたのは3名ですが、その後に14名のメンバーの顔を見るようでした。一緒に苦労をともにしたメンバーはいいな、と思います。天正遣欧少年使節団ならぬ、若ゼミ遣英使節団という感がしました。話はいつしかそれぞれの卒業後や来年度のゼミのことにも及びました。来年度は19名の19期生とゼミを展開するのですが、課題は18期生の成果と私のオックスフォード大での研究をいかに19期生に引き継ぐのかという点にあると思います。「私がいない状態」をいかに作り出してゆくか、いろいろと話が盛り上がりました。

3名と大笑いしなが、内なるパワーがまた湧いてくるようでした。

Thank you!

★今回の教訓:立場は異なれ一緒に何かに取り組むことは大切だと、あらためて思う。

(2019.2.5)

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オックスフォード通信(300/65)i-Seminar 第30回目:ファイナルセミナー&追いコン

春から取り組んできた i-Seminarもいよいよ本日、ファイナルセッションを迎えました。前半は従来通りのProcedureに沿ったセッションが進められました。本日は後半が追いコン(追い出しコンパ)となるため、会場が前半から楽真館R206教室に変更になりました。これはこのi-Seminarとしてはかなり大きな変更です。これまで利用してきた、S506やラーニングコモンズ・ワークショップスペースは2つのプロジェクタ、Wifi、そしてアップルTVが設置してあります。このアップルTVがミソでして、一見TVと関係あるようですが、実はMacとWifiを通してプロジェクタにワイヤレスで接続できる優れものです。これがあることによってゼミで利用してきたMacbookも簡単に大きなスクリーンに映し出すことができていました。特に現在のMacbookやPro, AirはType Cと言われる接続端子しかありませんので通常のHDMI接続が出来ません。

さて、R206を利用するにあたりどうしようかと考えたのですが、実は先日(1/12)の第16回英語英文学科卒業研究発表会で同様の事象があり(ブログは未アップロード)、その際にソフトバンクのSoftBank Pocket Wi-Fi(株、社グローバルモバイル)を利用した経験から割と簡単に解決策が見つかりました。ただ、先日の発表会では、SoftBank Pocket Wi-Fi 601HWが送付されたためだと思いますが(最新機種とのこと・・・たいていこの手のものは従来のコンピュータとの接続の相性は良くない)Macbookにはつながらず少し大変でした(詳細はオックスフォード通信(291/74)参照)。その経緯もあるので、今回はリクエストとして、501HW モデルをリクエストしておきました。

若ゼミ18期生でこれまでこの接続設定を継続的かつ献身的にしてきて頂いた、Mさんから昼休み(日本の)に一度接続チェックをしたいと連絡がありました。彼女は時差もこともよく分かっていて恐縮しながらも、事前チェックの重要性を理解していたので、私も奮起して早起き?して(早朝、3:30)接続設定を一緒に確認しました。やはりこのような大きなイベントの際には大切ですね。早起きして良かったと思いました。MacとPocket Wi-Fiの接続、MacとBose SpeakerとBluetooth接続、Macと教室内マイク・スピーカーのチェック(物理的にMacのスピーカーの前に持っていく)、Macの位置など手際よくチェックされていきました。幸い、MacとPocket Wi-Fiの相性も良く画面もクリアに映っていました(今回は一貫してFacetime利用)。

さて、本日のプログラムは以下の通りです。

4コマ目: 15:00-16:00 (R206 2F, Rakushinkan Building)

Convener: A & S

① Final Vermont talk topic: If you dare to choose one most memorable moment of the two-year seminar life, what is that?

② Words of the week: All endings are also beginnings.

③ Mini-slideshow (5 minutes)

④ Few words from Dr. Kitao

⑤ Few words from Miss Kato

⑥ Taking photos

⑦ Course evaluation

5コマ目: 16:30-20:00 (R206 2F, Rakushinkan Building)

⑧ 第16回若ゼミ送別会: 史上初のセルフ追いコンです。全員の力で素晴らしい会にしましょう!

Convener: N & N; A & M

3回生から取り組んできたsmall talk (Vermont Talk) も最終回。これまで2年間のゼミの中から印象的なものを1つ選ぶというものです。通常はMe, too. Me, three. 時に、Me, four. は有りなのですが、今回は他のメンバーが言ったものはNGというルールを設けたため、17+2 (教員)=19通りのイベントが結果的に紹介され、2年間を振り返る事ができたと思います。

次に私からこの2年間の総括を次の内容でお話しました(概略のみ表示)

・Thanking seminar members for their diligent participation and great contribution to the seminar

・New possibilities of the internet and the internet seminar

・Unlimited possibilities of the seminar members

・Wakamoto Seminar 18 as the best seminar in the world

・Realizing our motto: Never miss an opportunity to be fabulous

・Gratitude to Professor Kitao and TA Kato

特に、この1年間、私とタッグを組んで頂いた北尾教授には感謝の言葉しかありません。ご自分のゼミが有りながら、プラスアルファで若ゼミの面倒も見て頂き、一泊二日の冬合宿にもご参加頂きました。ご本人がVTでもおっしゃっておられましたが、北尾先生を冬合宿にお迎えして研究の質がグンと上がったことを実感しています(これは来年度のゼミにおいてもゲストをお迎えすることも真剣に検討したいと考えています)。またTAとして3回生秋学期からゼミのサポートをして頂いた大学院生の加藤さんにも感謝してもしきれないくらいです。特にこのゼミは2コマ連続で行ってきたため、5コマ目を中心にお世話になったとはいえ最初の4コマ目から配布物などの準備をして頂いていたため非常に長時間、面倒を見えて頂くことになりました。

この後、北尾先生からは、冬合宿について思い出をお話頂き、卒論が大学院レベルの質の高いものになっていると絶賛していただいたことは望外の喜びでした。また加藤さんからは年長者(ほんの少しだけ)として温かく優しく若ゼミメンバーに接して頂いたことが伝わってくるお話をしていただきました。i-Seminarとはいえ、4コマ目は北尾先生、5コマ目はTAの加藤さんが常にゼミメンバーの側にしてきめ細やかなご指導を頂いてきたことを改めて実感することができました。

後半は追いコンです。これは若ゼミ伝統行事で、3回生からですので実に16回目の追い出しコンパとなります(若ゼミでは3期生が多くの基礎を作っています。追いコン・現在では学科公式行事のポスターセッション・卒業研究発表会も3期生からスタート)。従来は追いコンという名前の通り、3回生ゼミメンバーが先輩を送ることになるのですが、本年度は3回生ゼミが開講されていないため、追いコン自体の開催も危ぶまれました。しかし、18期生の創造性豊かなアイディアによって「セルフ追いコン」という形で自分達で自分達の卒論の完成を祝い、卒業を祝す会を開催することができました。

オックスフォードからFacetimeによる中継で私も参加させて頂いたのですが、ゼミ活動の集大成として相応しいすがすがしい会となったと、誇りに思える素晴らしい追いコンとなりました。インフルエンザのため登校できなかったCさんもFacetimeで自宅から参加することができたのですが、いつも誰かがコンピュータに向かって話しかけたり(私には滅多にないことですが)、ゲームにもコンピュータを持っていって一緒に参加できるようにするなど、i-Seminarらしい光景が繰り広げられていました。和気あいあいというのは柔軟性があって自由でいいと思います。このゼミはゼミ長のような特定のリーダを作らず、プロジェクトやイベント毎に4名程度のリーダー集団が交替で担当する形を最初から取ってきました。

このメリットは大きく、

1.17名全員のリーダー性が育つため、ゼミ全体の力量が向上する

2.いわゆるリーダー疲れがない

3.リーダーが毎回変わるので、逆にリーダーに対しても自由にものが言えるため、アイディアがよく練られる、お任せにならない

4.リーダーが毎回変わるので、自由な発想ができる

今回の追いコンも「追いコン」担当の、A、M、N、Nさんの4名が時々私にも連絡をしてもらいながら、教室の配置図の作成からリフレッシュメントの手配、プログラムの作成まで全てを取り仕切って見事な仕事をしてくれました。

最終的には、会が終わったのが午後9時ですので、4コマ目からカウントすると実に6時間の長丁場でしたが、最後の片付けまで含めてすべて自分達でやり切った見事な追いコンになったと思います。

追いコンでのプログラムは各スタディーグループ毎に出し物という形でゲームが4つあったのすがそれらもこのゼミを象徴するような楽しいものでした(キーワード作文、若ゼミクイズなど)。そしてハイライトが最後のゼミメンバーによるスピーチです。追いコンというとどこでも最後にこのスピーチがあると思うのですが、最後の最後にいろいろな本音が聞けて興味深いのですが、本年度は特にイギリスから参加ということもありましたので、心にしみるお話が目白押しでした。少しだけ御紹介したいと思います(私の備忘録も兼ねて)

Yさん:最初はなかなか心をひらくことができなかった。もっと早く心を開けばよかった

Tさん:ゼミを離れてもいつもみんなが仲良くしてくれて嬉しかった

Mさん:STEPを通してゼミメンバーとの距離が近くなった

Aさん:大学に入って目標を失っていたけれど、このゼミを通してこの大学に来て良かったと思えた

Cさん:最初は教職を取っている人用のゼミだと思っていた。心にとげがあったけれどプロジェクトを通してみんながそのとげを取ってくれた

Aさん:忙しくてコンパなどに参加できないこともあったけれど皆が優しく受け入れてくれた

Rさん:JTECの時に自分で失敗したと思って落ち込んでいたときにも、心配しながら普通にせっしてくれた、何て心の優しい人達なんだと思った、みんなにとっては小さな事かもしれないけれど自分には大きかった

Nさん:これまで真剣に取り組むことがなかった、息を潜めて生きてきた、だからこそ大学に入って後悔のない4年間にしようと決意して臨んだが、ゼミのおかげで充実した大学生活になった

Iさん:世界一あたたかいゼミだと思った

Mさん:若ゼミのキャラでないなと思っていた

Sさん:みんなに感謝の言葉しかない、ありがとう

Mさん:ゼミに入って大学に来た意味を見いだせた

Hさん:大人数は苦手だったけれど、この大所帯のゼミの人数が気にならなくなった

Hさん:4回生からゼミを離れたけれどいつも若ゼミだと思っていいと言われて嬉しかった(いつもそう思っていますよ)

Nさん:このゼミのメンバーはみんないつも目標に向かって頑張っている、ところがすごい

Hさん:スライドショーで3回生では笑っていなかったけれど、4回生から笑顔の自分が見つけられた、最初は大変だった

Mさん: 3回生の最初は英語でプレゼンテーションをしたり英語を話そうと思ってもなかなか出てこなくて口惜しかった、しばらく経ってみんなと打ち解けることができたと思える瞬間がやってきた

Nさん:尊敬できる人ばかり、その人のいいところを100個言えといわれたら全員について言える自信がある

Mさん(トリ):3回生の当初は打ち解けることが出来ず課題も大変でよく泣いてた、ゼミにも行きたくないと思うこともあった

思い出しながら書いていますのでもちろん正確ではないと思うのですが(すいません)、でもこのスピーチをお聞きして本当に良かったと思います。私が教員として気づいていないことばかりでこのようなチャンスがなければ知らずに終わっていたかもしれません。共通して、若ゼミを選んで良かった、同志社女子大学にきてよかった、と皆さんが異口同音に言って頂いたのは嬉しい限りでした。中には、わざわざ愛媛から出てきた甲斐があったとまで言って頂いたメンバーもいました。

また私の1,2回生の授業がきっかけだっという声もありました(「異質な人がいる」と思ったとも)。

今回の追いコンが事実上、若ゼミの最終回ということになるわけですが、お話をお聞きしながら、私の方こそ、このゼミを選んで頂きありがとうございました、と言いたいと思います。素晴らしいゼミメンバーに出会えて教師冥利に尽きます。ゼミは決して楽しいことばかりではなく、長時間のゼミに加えて時にはこれまで自分が経験してこなかった新しいプロジェクトに参加することも多々あったと思います。互いに切磋琢磨しながら、学術的にも高度な研究がゼミで出来たと思いますし、チームとしてもすばらしい友情を育む事ができたと思います。

今週のひと言にもあったように「旅の終わりは旅のはじまり」だと思っています。これからもこの若ゼミ18期生の旅が豊かに続いてゆくことをゼミ担当者としては願わずにはいられません。

最後に、ゼミメンバーを代表してAさんから「時差もものともせず、coachが日本にいるのと同じような感覚でゼミを指導して頂き、充実したゼミなりました、ありがとうございました」と言葉を頂き、全員から「ありがとうございました」との感謝の言葉を頂戴しました。この上ない光栄な瞬間でした。

i-Seminarから私自身が学んだことは多々ありますが、この言葉ほど嬉しいものはありませんでした。

Thank you, everybody!

PS. 後輩がいないので従来のプレゼントはなし、と思っていたのですが、追いコン係からにくいプレゼントが。またコース担当者からはゼミのマグが2点。ゼミメンバーは(恐らくこのブログは読んでいないと思いますが)なぜ2つのマグをプレゼントしてもらったのだろう?と不思議に思っておられると思いますが、それは秘密として、お薦めの利用方法を御紹介しておきたいと思います。写真付きのものはペン立てやゼミの記念として飾っておく。Never miss は割らないように気をつけながら普段使いでコーヒーや紅茶を飲むのに使いながら、ゼミ精神をいつも自分にリマインドする、というのがひとつの方法かと思います。もちろん、自分で自由にお使い頂くのが一番だと思います。

★今回の教訓:「旅の終わりは旅のはじまり」。これは映画「旅芸人の記録」(テオ・アンゲロプロス監督、1979年)の最後のセリフ。大学時代に衝撃を受けたこのギリシア映画。いい言葉だと思う。

(2019.1.21)

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オックスフォード通信(291/74)i-Seminar:第16回卒業研究発表会

18期生の卒業研究発表会が開催されました。

次期4回生の19期生の皆さんも司会やタイムキーパーとしてヘルプに入ってくれました。リハーサルの効果もあり、それ以上に大学生活最後のプレゼンテーションという意気込みが功を奏して、これまでにない大成功の卒論発表会となりました(卒業研究ですが、若ゼミでは卒論を書いていますので伝統的に卒論発表会としています)。(ひとりの持ち時間は15分、内、11分を発表、4分を質疑応答、5分を入れ替え)

ただ、この発表会には問題が3点ありました。

  1. 発表会場にWifiが通っていない
  2. ゼミメンバー数が学科随一のため途中から2会場で同時進行となる
  3. イギリス=日本の時差が8時間、開始時間の午前10時がオックスフォードで午前1時

問題は解決できるものです。

  1. ソフトバンクが提供している1日Wifiパックを2会場分、都合3日(前日、当日、返却日)借り上げる→Hさんがピックアップ・返却の労を取ってくれる
  2. ゼミメンバーを2会場に分けて、2日以上から同時中継をしてもらい、iPhoneとMacBook Proで同時にオックスフォードで視聴する
  3. 一晩徹夜すればいいだけの問題なので気合と体力で乗り切る

実際、スムーズに進めることができたと思っています。
全18名、一人一人に質問もすることができました。音声が聞こえにくい状況では、LINEに質問を上げて、交替で代読してくれました。以下は質問の一例です。

Mxxxx, thank you very much for your nice presentation. I was very impressed with your interesting research.
Based on your research, what advice would you give to Japanese TEACHERS of English at junior high school students? Pick up only one from your research.

Axxx, thank you very much for your nice presentation. I was very impressed with your interesting research.
Could you tell us why you were interested in this topic, debate class?

Nxxxx, thank you very much for your nice presentation. I was very impressed with your interesting research.
After graduation, I know you will start teaching English at junior high school somewhere in Kyoto prefecture. How would you like to use the results of your research for your job?

Cxxxx, thank you very much for your nice presentation. I was very impressed with your interesting research.
As you showed, in general Type 2 grammatical items are most difficult. For Japanese high school students, what advice can you give? Should they give up learning prepositions? Or is there any good way to deal with prepositions?

One more question to Cxxxx … (if there is time)

After graduation, I know you will teach Japanese in Australia. How would you like to use the results of your research for your job starting this April?

Yxxx, thank you very much for your nice presentation. I was very impressed with your interesting research.
As you showed, teacher has a big influence on learning English for foreign language learners.
After graduation, I know you will start teaching English at junior high school somewhere in Nara prefecture. How would you like to use the results of your research for your job starting this April?

Mxxx, thank you very much for your nice presentation. I was very impressed with your interesting research.
After graduation, how would you like to use the results of your research for yourself? For example, how can people improve confidence in speaking English in a working situation like a company?

Nxxxx, thank you very much for your nice presentation. I was very impressed with your interesting research.
Based on your research, to make students enjoy English class, what advice would you give to Japanese TEACHERS of English at junior high school? Give them one advice.

Mxxx, thank you very much for your nice presentation. I was very impressed with your interesting research.
You proposed that for Japanese students who have a big gap, they need to achieve some small tasks, step by step to bridge the gap. For that purpose, what small task should be the first task to be given, in the case of junior high school students?

Rxxx, thank you very much for your nice presentation. I was very impressed with your interesting research.
You showed us the results of participants of Japanese majors. Their motivation remains in simple instrumental motivation. They might be the typical example of average Japanese people. Based on your research, how can we change their image of English?

Sxxx, thank you very much for your nice presentation. I was very impressed with your interesting research.
It is a very interesting result, indeed. Like Australian participants, how can Japanese students have more positive attitudes toward using English?

One more question
After graduation, I know you will teach Japanese in Australia. How would you like to use the research results for your job starting this April?

Rxxx, thank you very much for your nice presentation. I was very impressed with your interesting research.
Based on your research, to make students have more successful experience, what advice would you give to Japanese junior high school students in Japan?

One more question to Rxxx
Could you tell us why you were interested in this topic in relation to your twin sister

Axxx, thank you very much for your nice presentation. I was very impressed with your interesting research.
It is a very interesting result, indeed. Could you tell us why you were interested in this topic?

One more question to Axxx
If you suggest one movie for learning English with English subtitle, what movie would you recommend

Mxxx, thank you very much for your nice presentation. I was very impressed with your interesting research.
It is an interesting result. Could you explain more about affable learning environment? What is important for making the affable learning environment?

Hxxx, thank you very much for your nice presentation. I was very impressed with your interesting research.
After graduation, I know you will teach Japanese in Australia. How would you like to use the research results for your job starting this April?

Nxxx, thank you very much for your nice presentation. I was very impressed with your interesting research.
After graduation, I know you will start teaching English at junior high school somewhere in Sakai-shi. How would you like to use the results of your research for your job starting this April?

Mxxx, thank you very much for your nice presentation. I was very impressed with your interesting research.
You showed us the unique aspect of confidence. After graduation, how can you use this result of your research for yourself?

Hxxx, thank you very much for your nice presentation. I was very impressed with your interesting research.
According to your research, what can we or Japanese people learn from Asian college students?

発表や質疑応答を聞きながら胸が熱くなる想いでした。担当者がその場にいなくとも、いやいなかったからこそそれぞれが出し惜しみすることなく、力を十二分に発揮した姿をインターネット越しでしたが目の当たりにすることができました。

素晴らしいゼミに成長出来たと思います。

まさに世界一のゼミだと誇ることができます。

★今回の教訓:苦難を乗り越える度に人や集団は成長出来る。

(2019.1.12)
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オックスフォード通信(286/79)i-Seminar 第29回目:卒業研究発表会リハーサル

年明けの1回目のゼミは卒業研究発表会リハーサルです

といっても、不思議なことですが、休み明けとかにはトラブルが多いものです。気合をいれて午前5時に起床し、6時からの(日本時間は午後3時)からのゼミに備えていたのですが、今回のトラブルはアップル・IDの不調というものでした。ゼミの始まる10分位前から何度かアップルから、IDのリセットをするかというメールが届いていました。

以前、アップルID詐欺に遭ったことがありましたので、また来たなと無視していたら、日本側のMacのアップルIDが上手く入力できなかったようで、再入力するように本当のメールが届いていたものでした。こうなるといろいろとやっかいです。いわゆる秘密の質問にこたえなくてはなりません。2つの内の1つは正解だったようなのですが(おかしい、メモを見ながら答えたのですが)もうひとつの問いに正解できません。

このアップルIDは、Facetimeを利用するためにどうしても必要です。もうゼミがはじまって5-6分経ってしまいましたので、一旦断念してLineビデオでの中継に切り替えることに。すると、今度はネットワーク不調で1分に1回途切れるような状況に。本日のVermont Talk(Small Talk)は恒例のNew Year’s Resolutionで楽しみにしていたのですが、3-4名の決意を聞いたままで他のメンバーものものは聞けずじまい。気合をいれて作った、Words of the WeekもConvenerにお任せの状態でした。

でも、感じることはここまで積み上げてきたセッションを通してゼミメンバーは自分達の力で次々と臨機応変に判断して次々と進める力を身につけているということです。あるゼミメンバーが卒論を書き終えた後の感想で言っていましたが「coach(教員)がいなかったからこそこのように自分達で進めることができるようになった」のかもしれません。逆に言うと、これまでは学生自身がする力を教員が見くびり、親切と思ってやってしまっていたのかもしれません。イギリスというちょっとやそっとでは帰って来れない距離にいるのでいいあきらめがついているかもしれません。

でも、このことに気づいた意義は大きいと自分では思っています。来年度からまた4回生ゼミ(4回生からのスタート!)、3回生ゼミが始まりますが、「coachはイギリスにいると思え!」と宣言してなるべく手を出さないようにした方がいいのかもしれません。

その後は、今週末(1/12)に開催の第16回英語英文学科卒業研究発表会のリハーサルを行いました。それも手際よく、4つのスタディーグループに分かれて、プロジェクタに映しての各11分の発表リハーサルです。

本当は4つの別々の場所を用意しようとしたのですが、ラーニングコモンズ1Fのイベントホールは使用することができませんでした。理由は当日の利用申し込みはできないとのこと。必要であればK務課に申し込めとのこと。仕方ないので国際電話をかけて英語英文学科研究事務室から利用申請をしてもらったのですが、同様に前日までに申し込んでおかないといけないとのことで却下されてしまいました。しかし、前日までは大学は冬季休業期間でお休み。それを遡ると12月28日まで戻ることになります。もちろん、授業は計画的に進めることも大事だと思うのですが、教育はその場でのひらめきでこうしたいと思うことも多くあります。誰がが使っていて使えないのであればあきらめますが、誰も使わずの状況で、変な規則を元に使用させないというのは、お役所仕事のようでゲンナリします。ただ、これは対応した職員が悪いのではなくて、原則を踏まえた上での臨機応変の対応ができるような権限をその職員に与えていない大学運営の在り方に問題があるのだと思います。いつまでこんなことを続けているのだろうと、思います。

そんなこととは関係なしにゼミメンバーは、ワークショップスペースを2つに分けて、リハーサルを続けていました。このような臨機応変な対応ができる若者は流石です。

ゼミも大詰め。後半は、論文集の原稿のページ打ち。恐らく、800ページを超える壮大な論文集になっていると思いますが、個々人に任せっきりにしないで、全体で3-4名ずつの論文にページを貼っていく共同作業として取り組んでいました。このアイディアも私では出てこないものです。

来週のゼミは成人式でなし。そして、1/21はいよいよこのi-Seminarの最終回となります。

(2019.1.7)

★今回の教訓:アイディアは若者に任せる。特に方法論については私達よりも今の学生の方がはるかに柔軟に効率よく現状にあった方法を考えることができる。

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オックスフォード通信(269)18期生卒論提出完了!記録更新!

若ゼミ18期生が卒業論文を無事全員提出いたしました

Congratulations!

全員そろっての提出を祝福するとともにここまで若ゼミ18期生をご支援くださった皆様に心より感謝申し上げます。

特に、本年ご自身のゼミに加えて毎回の若ゼミのゼミにご参加頂き、また冬合宿にも参加し学生に貴重なコメントをお与え下ったり、一貫して若ゼミをサポートして下さった、S. Kathleen Kitao教授に感謝申し上げます。また、通常の業務以上に多くの仕事をいつも快く引き受け、ゼミメンバーの良き相談役としてゼミをサポートして下さったTAの大学院2回生加藤澪さんに感謝申し上げます。また、i-Seminarを実行する上で必要となる機材を見つける度にアマゾン→事務室受け取りの順で購入してきましたが、スムーズにゼミに受け取りができるようサポートして下さった英語英文学科研究事務室の皆様、何かにつけてご支援頂いた事務長の池ノ内寛二様、事務室の三浦真由子様に感謝申し上げます。

それにも増して、この1年、インターネット利用のゼミという新しい試みを温かく見守り下さったご家族の皆様に感謝申し上げます。時に、ゼミメンバーが不満や不安を口にすることもあったと思います。家族の皆様がいつもよき相談役としてこのゼミが発展するようにアドバイスをしてくださっていたことと思います。本当にありがとうございました。

多くの人の支えで若ゼミ18期生、17名が12月21日、15:52分、提出期限、68分前の歴代最速記録更新する形で卒業論文を提出いたしました。

ゼミメンバーのみなさん、おめでとうございます!どうぞ楽しいホリデーシーズンをお過ごしください。

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(2018.12.21)

オックスフォード通信(267)卒論最終盤

イギリス英語の裏側が見えてくる。例えば、店員さんはアメリカ英語では(通常、日本では英語というとアメリカ英語を指すのでこの言い方自体が面白い)cleakだが、イギリス英語ではshop assitantという(もちろん最もイギリス英語を象徴するのは、行列という意味のqueue[名詞・動詞]だが)。イギリス英語は聞き取りにくいなど非難されることが多い印象だが、イギリス英語の方が「真面目」な印象だ。shop assistantも奇をてらわない丁寧な言い方のように思う。

さて、卒論提出まであと2日となったが、このような瀬戸際になると見えてくるのが「個人の力」であり「集団の力」である。個人の力は、突き詰めると、1.諦めない力、2. 先延ばしにしない力(NOT Procrastination)、3. 限られた時間を前にして楽しむ余裕、といっていいかもしれない。集団の力というと、これは逆説的だが「利他的行動が取れる集団であるかどうか」ということである。天は(他)人を助くるものを助ける、と思う。ゼミの他のメンバーを思いやる気持ちがあると、不思議とその人の卒論に奥行きと味わいが出てくる。不思議なものだ。卒論は短大時代から含めると、23回目の指導(5回、短大ゼミ、18回が4年制)だが、毎回いろいろな発見がある。

★今回の教訓:自分のことだけを考えている者が成功しないのは世の常だ。

(2018.12.19)

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オックスフォード通信(266)i-Seminar 第28回目:高名の木登り

高名の木登りといひし男、人を掟てて高き木に登せて・・・

とはじまる文章は高等学校の古文で必ず習う、吉田兼好「徒然草」の一節です。木登りの師匠が、木の高いところに弟子が登っている時には何も言わないでおいて、軒くらいの低いところまで降りてきたときに気をつけろというのを不思議に思ったというお話です。

これは、人生の節目の大切なことをなす時にいつも思い出す言葉です。危ないと思っている時には自分で気をつけているので大丈夫なのですが、もう大丈夫と思った時に限ってケガをしたりするのは本当のことです。

英語ではNoticingといいますが、いつもいつも注意していられないのが人間の性というものです。だからこそ危ない可能性のあるところをあらかじめ知っておくことは重要なことです。

毎年この一節を読んでいますが、本年は、古文、現代文に加えて英訳も試みてみました。

ラーニングコモンズのワークショップスペースでのゼミとなりましたが、インターネットの状態もそれほど悪くなく、割と順調にゼミを進めることができました。

毎年のことですが、いよいよ卒論提出に入ります。アポロ13号でいえばいよいよ大気圏再突入というシーンです。

何度も経験していますが、期待と緊張が入り交じる瞬間です。

高名の木登りの教訓は人生の節目、節目に生かすことができる。

PS. ゼミの冒頭は若ゼミらしく、クリスマスパーティーを開催してくれました。硬軟取り混ぜるとうまくいくことが多いです。

(2018.12.18)

★今回の教訓:今こそ注意すべきである。肝に銘じたい。

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オックスフォード通信(264)卒論に想う(2)

(昨日に引き続き)。一方で実際に会って話ができないためもどかしく思うこともあります。

1. 卒論をこう進めれば・・・と思うことがあってもすべて文字に書いてのコミュニケーションなので、伝わりにくいことがある。

2. 励ますことがむずかしい・・・言葉を労しなくても笑顔で話すだけで励ますことはできるけれど、逆は難しい。

3. 遅れているメンバーにハッパをかけにくい・・・書き言葉のインパクトはそれほど大きくないことを実感します。

にも関わらず、過去最高に近い卒論に仕上がりつつあるのは、彼女達が自律的集団として成長してきたことの証しかもしれません。あと、少し。仕上がりが楽しみです。

(2018.12.15)

★今回の教訓:コミュニケーションとは?いつも考えさせられます。

オックスフォード通信(263)卒論に想う(1)

毎年のことだが、今年は遠隔ゼミをしているだけあってこの卒論に普段とは異なる感慨を感じます。Digital Paper (SONY) — Dropbox — Smartphone (PC/MC/iPad)という連携が上手くいっていることもあり、ドラフトへのフィードバックはかなりスムーズです。

また、時差が9時間あるため、ゼミメンバーが夜遅くまで書いてDropboxに投稿したドラフトをまるでリレーのように昼に読むことが出来ます。もちろん、こちらでの研究スケジュールの合間に読むことになるのですが、無駄な時間がないように思えます。

(2018.12.15)

★今回の教訓:時差が有利に働くこともある。

オックスフォード通信(258)i-Seminar 第27回目:論文を書く意義

卒論を書くことにどのような意味があるのか

このことについて議論をしました。メタ認知とは「自分がしていることについて知る」ことをいいますが、まさに卒論を書きながら卒論とはなんぞやという議論をしたわけです。これはなかなかクオリティーの高い話だと思います。

まずKitao先生から素晴らしいレクチャーをして頂きました

  1. Self-confidence: 自分に自信を持つことができる。英文で30ページの卒論はなかなか骨の折れるチャレンジングなタスクですので、英語だけでなくこの山を乗り越えた自分自身に大きな自信がつくのは間違いないと思います。よく「根拠のない自信」ということがありますが、卒論の場合には「根拠のある自信」が身につくというものです。実際に卒業メンバーがよく言っていますが、日本語でのレポートなら喜んで、英文でも500 wordsくらいならスラスラ書ける「気」がすると言っています。その気がするというのが重要なポイントだと思います
  2. Critical (Logical) thinking:論理的思考能力。これはcoachとまたスタディーグループのメンバーとやり取りを繰り返していきますので、自分自身の非論理的な思考が修正されるいい機会となります。また、リサーチ・クエスチョンへの説得力のある解答を考えなければいけませんので論理的に考えざるを得ません。ただ、これは日本語でも身に付く能力であって英語の専売特許でないことは気をつけないといけません。事実、日本語日本文学科で卒論を書いている人達も同じ能力が身についていると思います。
  3. Evaluating research:他の研究を評価する能力。これにはハッとしました。考えていませでした。確かに自分自身が論文を書くことによって他の研究や論文を批判的に読んだり、評価する能力が身につくと思います。来年からこのポイントも指導に含めたいと思います。
  4. Life-long education:自分自身で研究課題(Research Question)を設定してその問いを解くのが卒論です。卒論が終われば、社会人としてまた人生を生きるなかで次の疑問が浮かびあがってくることになります。北尾先生は、What you want to know … Academic mind… Continue to learnという表現を使われましたが、次に自分は何が知りたくて、それをどう解き明かすのか、Life workのサイクルが出来上がるかもしれません。これは研究者になるとかそういうこととは関係なく、「模索しながら」人生を歩むことにつながるのです。ただ生きるのではなくて、何かを探し求めながら模索しながら生きて行くことはとても意義のある、そして人生を豊かにするものだと思います。

この次に私の番だったのですが、3以外は言われてしまったので(後攻は不利です)、私は取っておきのひとつに焦点をあててお話しました。

  1. Resilience: 反発力とも復元力ともいいます。つまり卒論を書く中で落ち込むことはたくさんあります。思い通りの結果がでなかった(ねつ造してはいけません)、自信をもって書いたものに一杯の修正コメントとともにフィードバックが返ってきた(当たり前のことですが)、いわゆるWriter’s block=スランプに陥ってしまった、などなど。そこから締めきりを念頭に何度も自分を鼓舞し立ち直り、また倒れて立ち直るという、文字通り七転び八起きを繰り返すことになります。転ぶことは当たり前なので問題はそこからどう立ち直るかというのが問題になります。卒論を書く中で、友だちや家族の支え励ましも大きく影響します。卒論が完成したということはその励ましにも支えられながら、起き上がることができた、ということを示しています。このような復元力はこれからの人生で大きな支えとなります。

その他、具体論についても議論をしました。

A. Plan carefully: 残りの日数を考えながら計画を立てる

B. Perfect is the enemy of good. God is in the details. これらは相反することですがどちらも重要なことです。完璧を目指すとなかなか仕事が進みません。ですからBig jobを先に済ませてしまうことが重要です。でもその後にはSmall jobにも配慮をするべきです(神は細部に宿る、の方)。時間配分にも気をつけなければなりませんが、両方に配慮をすることが重要だと思います。その意味ではTypoにも気をつけたいものです

C. Good sleep. Eat well. 自分のBest time に仕事をするのは重要なことです。当たり前のようですが十分な睡眠と栄養はいい論文を書くためには不可欠と言えるかもしれません

D. Work together. 誰かに自分の論文を説明してみること。すると問題点が見えてきたり、解決方法が見つからなかった問題の糸口を見いだすことができます。また誰かと一緒に作業をすることによって意欲が高まるのも事実です。

この最終盤のゼミは各自がPCを持参してラーニングコモンズのワークショップスペースで行っています。これまでは秋学期は作業を重視して情報処理教室でのゼミだったのですが、議論を重視すると普通教室の方がいろいろな話をするのに便利です。最近ではラップトップコンピュータも小さくなりましたし、大学生が授業に持参するのはある意味では当たり前のことかもしれません。これもまた今年の発見のひとつです。

(2018.12.10)

★今回の教訓:計画をしっかり作れば、Keep calm and carry on. この精神ですすめればよし。

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オックスフォード通信(252)i-Seminar 第26回目:Apollo 13

いよいよ、i-Seminar も大詰め。

本日は伝統の映画「アポロ13」を観ました。この映画を共有することができるとは予想していなかったので、インターネットの威力とゼミメンバーの知恵に頭が下がる思いです。

実際のアポロ13号をフロリダ州ケープカナベラル・ケネディ・スペース・センターまで見に行ったのはまだカナダのトロントに住んでいた頃でしたので2001年の春休みだったと思います。当時は、13号の知識はほとんどなく、11号が持ち帰った月の石を見に行こうと思ったのが当初の動機でした。

ところが着いてみると、月の石はカフェの隅の方のガラスのケースに粗末に置いてあるだけで、むしろ黒焦げになったアポロ13号を大きく展示していたのに驚きました。“Failure is not option.”というボールペンもその場で購入しました(日本の研究室でまだ現役です)。

それ以降ですね、アポロ13号に興味を持って映画を観るようになったのは。2時間近くの長い映画ですので、例年も全部を見ることはできないのですが、ゼミメンバーの表情を観ながら適当にスキャンしてみせることができていました。

ただ、今回はそうは行きません。このi-seminarの極意は「事前準備」に尽きます。教室の変更がないか。ハンドアウトの準備、授業の進行表(インターネットが止まってしまうことがあるので司会者をはじめ全員に授業の流れを理解しておいてもらう必要がある)の共有など。今回の映画についてもどの部分を観るのか、まずイギリス側でAmazon UKでビデオをレンタルし、観ながらどの部分をゼミで使うか、進行時間をメモしながら決めていく→エクセルファイルに転記しゼミメンバーに共有。日本側では当初大学のAVセンターでこの映画を借りようと思っていたところ、まさかのLD(レーザーディスク)でしかないことが判明し、急遽DVD(ついでに20周年記念バージョン・ブルーレイディスク)を購入しました(アマゾンが便利なのは、注文や支払いはイギリスから、配送は日本の任意の住所=今回は大学の事務室宛)

準備万端で臨んだセッションですが、実はスキャンを想定して進行表を組んでいたのですが、教室のDVDのリモコンのスキャンの場所がいま一歩不明という事態に。

ただここからがゼミメンバーの素晴らしいところで、総時間数を画面でカウントしながら、該当のシーンにピンポイントで移動してくれました。私が逆の立場ならスキャンが?となった時点でギブアップしていたかもしれません。

この映画は示唆に富んでいて、管制司令官のGeneがあちらこちらで名言を放ちます。これがこの映画を卒論のこの時期に観る意味なのですが、まだご覧になったことのない皆さんは是非、一度ご覧下さい(サウンドトラックはいろいろなところでよく使われていますので聞いたことがあると思います)。

(2018.12.4)

★今回の教訓:どのような状況でも冷静さと楽観性を保つことは重要だ。

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オックスフォード通信(244)i-Seminar 25回目:ワークショップも大詰め

本日のゼミでは第1章と6章、レファレンスの作成について学びました

現在、イギリスは冬へまっしぐら、12月22日に向けて日没時間もどんどん早まるばかりです。日没はついに午後4時を切りはじめました。朝は7時半くらいにならないと明るくなりません。ゼミの始まる日本時間午後3時はオックスフォードでは午前6時。ゼミの日は朝5時起きとなりますが当然真夜中のようです。夕方も午後6時くらいで日本の午後10時くらいの暗さです。

この日は何度か止まってしまいましたが、Facetimeが順調で、音が二重に聞こえる現象も起きずインターネット状況は順調でした。

ワークショップ用に3つのスライドショー(PowerPointファイル)を用意したのですが、Dropboxで共有しているファイルを司会のダブルMさんに操作をしてもらいながら説明、という形で進みます。割とこの形式はうまくいっているようです。この場合難しいのはカメラの位置なのですが、敢えてスライドショーが投影されているホワトボードではなく、ゼミメンバーに向けてもらっていました。その方が自分でプレゼンテーションしているような気になります。

レファレルンスについてはこれまで高額なのでソフトウエアの紹介を控えてきたのですが、先日参加したオックスフォード大学ITセンターのワークショップで目からウロコ。2GBまでは無料で(Dropboxと同じ)利用できるMendeleyの使い方を教えて頂きました。実は前からアカウントを持ってて時々使っていたのですが、デスクトップソフトウエアとクラウドの連携がスムーズに、しかもPDFファイルをドラッグするだけで簡単にレファレンスを作成できます。この数年のことだと思うのですが、この動きを知りませんでした。

と思ってインターネットを検索すると東大はMendeleyの使い方のPDFを公開しています。このような動きには同志社女子大学のような中規模校でも大学単位で対応してゆきたいものです(自戒)。

このようなソフトの紹介で面白いのは「おおーー」という歓声が上がるところです。事実私も先日のワークショップではそうでした。このPDF機能は日本語の論文や古いフォーマットの論文には対応していない部分がありますが、画期的だと思います。

これで若ゼミの卒論のクオリティーがグンとあがることでしょう。

(2018.11.26)

★今回の教訓:常に最新の研究環境を知っておく必要がある。

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オックスフォード通信(241)EVE祭

第143回EVEが開催されました。

今年の若ゼミ18期生の出し物は「スープ餃子」です。昨年の知恵と経験をもとに着々・スムーズにみんながそれぞれの役割を果たしていい形で模擬店の出店となっています。

EVEには7期生から(京田辺時代には、スポーツフェスティバルで3期生から出店をしていました)ので通算では16年連続の出店となります。よく先生方から「1号店」「2号店」と2つも若ゼミの模擬店があるとからかわれていましたが、今年に限っては4回生のみです。

しかし、昨年の経験があるからとはいえ、自分達だけの力で計画・準備・運営と全てをこなすところはすごいと思います。サークルやクラブ、またゼミでも有志で出す所はあると思いますが、ゼミの行事として全員参加で(昨年までのメンバーも加えて)取り組むところに意義があると思っています。

ただ、今年は、写真やインスタグラムを見せてもらうだけで何もできないところはなんとも言えない気持ちです。時差が9時間あるため、模擬店が始まる午前10時(日本時間)は午前1時(イギリス時間)、逆に起床の午前7時(イギリス)は日本の午後4時くらいでほとんど終わりの時間です。

しかし、教員が全くタッチしないというのは実はいいのかもしれません。近くにいると過保護でhないのですが、ガムテープがいるといわれたら出し、気になって時々見に行ったりと何かと手を出そうとしていたのかもしれません(実際には何もしていないのですが)。これを機にEVEは完全100%ゼミメンバーで運営することという方針に転換するのもいいのかもしれないと思っています。

ゼミメンバーの成長と若ゼミ18期の成熟を感じるEVEです。

(2018.11.23)

★今回の教訓:職員のMさんのFacebookに模擬店に行ってきたけれどまだ準備中だったということだったので書き込みをしたが、その後のMさんと友人の大学時代の模擬店の回想が面白かった。無断で主要部分を再現させて頂きます。

Mさん:また今出川にも来てねー!!
Kさん: 私たちがパイナップル売ったのは何年前?(笑)
Mさん:ぜんざいやったよ!両方やったっけ?
Kさん: 両方やったかも。私ら人数多かったもんね
Tさん: 横から失礼します🙇⤵️🍍パイナップルだったよ☺️ 善哉では、なかったと…
Kさん:やっぱりそうか。パイナップルに割り箸刺したのは覚えてる😀 あまりに昔のことで(笑)記憶が曖昧になってるわ😵
Mさんと私は年は恐らく3-4才くらいの差。当時、私は同女の近くに住んでいてEVEにも来たことあるような(この時点で記憶があいまい)。確か、そのパイナップルも食べたような(もっと記憶があいまい)。

現在店を出している彼女達も30年経ったら、スープに入っていたのが餃子だったのか、つみれだったのか、このような会話をするのだろうかと思いながら微笑ましくやり取りを読ませて頂きました。ところで模擬店をだした若ゼミは卒業してから最大でもまだ15年くらいしか経っていないけれど「何を」だしたのか覚えているのだろうか?今度誰かに聞いてみよう。

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オックスフォード通信(238) i-Seminar 24回目:卒論台紙授与

本日のゼミではいよいよ卒業論文の台紙が授与されました

ラグビーの試合前にユニフォームであるゼッケンのついたジャージが渡されるように若ゼミでは歴代、この時期に2セットの卒論台紙と綴じ紐が渡されることになっています。

今年も伝統に則り卒論コミュニティから各メンバーに台紙が渡され、K先生から励ましの握手をして頂きました。また、今年初めて3者面談として本人、K先生、私で各自が提案した卒論について教室内で公開で議論をしほぼ最終決定をしました(昨年までは私とC先生で提案されたタイトルについて協議をしていました)。

今週のひと言は、”Try for change” でしたが、「チャレンジすることによって変わることができる」と私は日本語訳をあてました。ほんの小さな違いですが、こころの中には心地よい響きが残っています。昨年までは物理的にもう一人の先生が教室にいなかったためそのようなこのような三者面談風を考えもしなかったのですが、i-Seminarをしている中でこのような企画ができて良かったと思います。

夜のセミナーのあと、ワインのレセプションで世界的に有名なダブリンのトリニティー大学のS先生と同じく世界的に著名なオックスフォード大学名誉教授のE先生と個人的にいろいろとお話をする機会があったのですが、例えば、Stumulated Recall Interviewもインターネットを通して遠隔インタビューができるのではないかという話をしていました。

目的というか志があれば、方法はいろいろとあるものだと、今日のセッションから教えられたような気がします。

これも恒例の卒論必出ダルマも登場し、卒論コミュニティによって片側の目に炭が入れられました。いよいよこれからひと月が勝負の時間となります。EVE祭も楽しみながら、素晴らしい卒論への道を歩んで欲しいと思います。

それにしても本日の卒論台紙授与にしてもだるまにしてもスムーズに事が進んでいます。これは日の当たらない所で地道に台紙を運んだり、だるまようの筆ペンを持ってきてくれたりと多くの縁の下の力持ちがいるから可能になっていることです。私はいつもこのような地道にゼミを支えてくれているメンバーを誇りに思っています。

さて、本日のインターネット接続は4回止まってしまいましたが、先週までの音のハウリングのような現象は一切見られませんでした。FacetimeもLINEビデオとも。すると格段に話やすいものです。微妙な音の作用ですが、コミュニケーションというよりもむしろ思考としての言語使用に大きな影響があるように思いました。

ワークショップでは、APAとUT(University of Toronto)のスタイルミックスしたHeadingsを作成、目次の作成、ナビゲーションウインドウの活用について学びました。卒論も本当にいよいよです。

(2018.11.20)

★今回の教訓:台紙授与のような儀式は大切だと思う。ゼミメンバーはどう思っているか分からないが、ひとつひとつステップを踏んでいくことが重要だ。残りゼミも「30 – 24」となった。一層気持ちを引き締めてかかりたい。オックスフォードでの研究もまとめの時期にかかってきた。こちらも一層頑張りたい。明日は来年度4回生(19期生)、3回生(20期生)の募集締め切り。夢と志をもった若者達と未来に向かって頑張っていきたいと思う。学長選挙も水曜日に行われる。いろいろな意味で未来のかかった日々となる。f:id:wakazemi:20181120192559j:image

オックスフォード通信(234)晩秋のオックスフォード

ゼミの卒業メンバーがオックスフォードを訪問してくれたので一緒に秋のオックスフォードを散策しました

2期生のMさんのFacebookによるとボストンはすでにマイナス20℃ということですが、オックスフォードはまだそこまでは寒くないのですが(恐らく真冬でも日本と同じくらいの寒さだと期待しています)、秋の訪れは早く既に晩秋の装いです。

クライスト・チャーチカレッジの meadow(メドウ)につながる散歩道は落葉しているせいで回りの風景も良く見渡すことができます。舗装もしていない道を散策するのもいいものです。さすがに鴨や鵞鳥は寒さのせいか姿が見当たりませんがリスを見つけることができました。

クライスト・チャーチカレッジではダイニングルームの見学をしたのですが、この時期それほど観光客も多くなく、ゆっくりと見て回ることができます(とはいえ、団体客は2組同じ時間帯にありました)。どのカレッジの食堂も見事ですが、このクライストチャーチカレッジは映画ハリーポッターの食堂のモデルにもなっただけあって威厳と栄光をはっきりと感じることができます。正面いはエリザベス1世の肖像画の横にイングランド王ヘンリー8世の肖像画が鎮座しています。

このようなダイニングルームで朝・昼・夕食を食べるとどんな気持ちになるのでしょう。存在が意識を決定するといわれますが、素晴らしい環境は人間性の陶冶にも学問研究への刺激にも大きなものがあるのでしょう。

中庭の噴水やその中庭を見下ろすように立ち尽くすトムタワーも回りと上手く調和しているように見えます。

現在、4回生ゼミ(18期生)は卒論と格闘していますが、今回オックスフォードに来てくれた2人もまた5年前のこの時期に七転八倒しながら最後には素晴らしい卒論を仕上げてくれました。卒論が終わった後にはこのような穏やかな時もやってくるものです。2人とオックスフォードの街を散策しながら5年前のゼミのメンバーひとりひとりの姿を思い浮かべていました。卒業時に大学は卒業してもゼミはおわらない、と私の話を締めくくったのですが、あらためてそのように思います。しんどいことを一緒に乗り越えたからこそ、いや大変なことをゼミとして達成しようとしたからこそ互いに帯する尊敬の念が生まれるのだと思います。

そう考えると学問研究は学問研究自体に意味があることに加えて、学問研究をめぐる人間関係を育む豊かな芸術であるようにも思います。

彼女達はこれから結婚や仕事の更なる発展など人生の転機となることがあろうかと思いますが、少し遠くを見据えて淡々とそして時に熱く、自分のゴールを達成して欲しい、そんなことを晩秋のオックスフォードを一緒に回りながら考えていました。

(2018.11.16)

★今回の教訓:オックスフォードの紅葉には黄色はあるが赤系統がない。それはそれでもキレイだが秋には紅葉の紅系の色が欲しいものだ。f:id:wakazemi:20181115150134j:image

オックスフォード通信(231) i-Seminar 23回目:オープンセミナー

23回目のゼミはオープンセミナーでした

事実上3日連続のゼミとなりましたが(土・日=冬合宿)、ゼミメンバーには(インターネットで見る限り)疲れは微塵もみられません。若いと言うことはまずそれだけで素晴らしいことです。ゼミメンバーの張り切った様子が少し疲れ気味も私を勇気づけてくれます。

本日のゼミもリトリートセンターのような音声の反響が残っていていました。これまではBluetooth Speaker(BOSE)に接続したためと思っていたのですが、Facetimeの問題かもしれません。オックスフォード側のマイクとスピーカーが適切に切り替わらず、私が話をしている間も同志社女子大学側の音声が聞こえてしまうエラーなのかもしれません。

さて、いつものVermont Talk(Small Talk)、Words of the Weekに続いて、ゼミ紹介ビデオ(1分)とこれまでの歩みビデオ(2-3分)が、ゼミメンバーの紹介に続いて放映されました。この日のConvener(司会者)はMさんとRさんでしたが、K先生に休養していただいているということもあるのかもしれませんが、100%以上の責任をものともせず堂々とした進行ぶりでした。あらためて、学生に任せることが重要だと思いました。教員がいるから学生が力を発揮できない場面も多くあるように思います。

私の失態(?)はゼミメンバーの紹介の際に私も紹介されているのに気づかず、ゼミメンバーから「何か反応してください」とせっつかれてしまったことです。このスライドは実は土日の冬合宿のリモデルだったのですが、その際インターネットが上手く接続されておらずこのスライドの段取りが分かっていなかったことと同志社女子大学側のMacカメラが(気を利かせて)ゼミ参観者の方を向いていたことによります。このMacカメラの視野と人間の視野を比較すると120度:170度くらいの差があるようにも思います。しかし、このようなbumpは何事にもあるものです。

その後、ゼミについてのQ&Aを4つのブースに分かれて、参観者が好きなところを訪問して自由に相談するというスタイルが取られました。これも昨年、中学生を大学に招いてのJ-TEC(Junior high school students Teaching English at College)の応用です。各ブースにはお菓子がおかれています。これは冬合宿で残ったもの、いえその転用です。このようにこれまでの経験を臨機応援に柔軟に活用することができるのがこのゼミの強みでもあります。またあらためていろいろな経験をしておくものだと思います。その経験は分野を超えて上手く応用されていきます(形式陶冶・トランスファー)。まあ考え見ると大学生活そのものが卒業後の生活のための基礎と考えると、大学時代に失敗を含めてありとあらゆる経験をしておく必要があることを実感します。

この日のゼミではすべて学生が自分達で進めていったのですが、ひとりひとりの顔がいつも以上に輝いて見えました。それは自分達で進めているという緊張感と責任感も作用していたのかもしれませんが、自分達がこれまで積み上げてきたゼミを誇りに思う気持ちから来ているのではないかと思いました。その誇りが、後輩となる次期4回生や3回生に自信を持って自分達のゼミを薦めることができたのではないかと思います。教員としてはこれ以上に満足感を覚える瞬間はありません。

この秋学期、セッションでは各チャプターの発表をしながら、ゼミ写真撮影、スポーツフェスティバル、シェークスピアプロダクション、冬合宿と怒濤の行事の連続でした。その行事ごとにリーダーグループが入れ替わってきました(固定リーダーを作らない方がいいことの方が多いです)。ゼミメンバーは大変だったとおもいますが、一方で得るものも多かったように思います。

このいい伝統をこの日のオープンセミナーに参加してくれた中から応募してくれるであろう次期19期生、20期生が受け継ぎ、更に発展させてくれるものと信じています。

ゼミ伝統のバトンは確実に未来のゼミメンバーに受け継がれたと思います。

(2018.11.13)

★今回の教訓:風の噂でしか知らなかったことだが今年はなぜかこのオープンセミナーを学科として実施していないらしい。きっとシラバスをじっくり読めばゼミの内容が分かるとかの考えから来ていることだろうが、学生軽視(教員中心)の詭弁もいいところである。では講演会はなぜあるのだろう。本をじっくり読めばいいわけだが、そうではない。その人の声を聞き、雰囲気を味わうことで伝わってくるものがあるはずだ。特に、本年度、i-Seminarをしていて、Face-to-face の重みを実感している。またたった1回のゼミで何が分かるかという議論もあるかもしれないが、就職活動の面接官はほんの1分話をするだけでその人の人となりが大体わかるものだ。それは大学の推薦入試の面接でもしかりだ。学生の直感はするどい。ほんの1分でもそのゼミに足を踏み入れるだけでそのゼミの空気が分かるだろう。そもそもゼミは講義と違って、議論やインターラクションに価値があるわけだから、教員と学生、学生同士がどのようなやり取りをしているか、どのような人間関係を作っているかを見ないと見誤ることとなる。そのようなことはシラバスからは分からない。シラバスを読めばという意見はゼミの本質が分かっていないからではないか。結局、風評(どのゼミが厳しいとか、そうでないとか、風評というと私の来年度ゼミは開講されないとの噂だったそうだ)を頼りに登録をしてしまうことになる。結局損をするのは学生だ。自分の予想と期待と異なるゼミで1年過ごすことになるからだ。オープンセミナーをしないのなら、大学のオープンキャンパスもやめればいい。大学案内を読めばいいからだ。何事もクローズよりもオープンの方が発展可能性がある。1ミリでも毎年進化しないといけない。これはこの若ゼミにも当てはまることで現状に満足したところから後退が始まる。なぜなら現状があるのはまだ結果に表れていない前向きな努力のおかげである。前向きな姿勢を失った瞬間から組織の後退が始まるのは企業も大学も人間も同じ事である。自戒としたい。

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オックスフォード通信(229)i-Seminar Winter Overnight Special(コンテンツ・メッソド編)

インターネット合宿は学生の自主性を高める

今回、K先生もTAのKさんも2日間ともご参加頂いたのですが、実質的な合宿の計画・進行・運営はほぼすべて学生自身の手で行われました。これまでは「待てずに」私が指示を出したりすることが多かったのですが、インターネットではさすがにそれはできないので(カメラの前の状況しか分からないため)学生自身が自分達で動かないといけないと思ってくれたのだと思います。これはゼミにとってもとてもいいことだったと思います。

教師はなかなか「指示病」からぬけることができないものです。時にそれを義務と考えてしまいますが、学生や集団としてのゼミの成長を奪ってしまっていたのかもしれません。

今回の合宿で特徴的な点をざっと挙げておきたいと思います。

1. ゼミメンバー17名全員が遅刻もなく(これも例年にないことです)参加できたこと

2. ひとり30分の発表(質疑応答を含め)を実に17名分、最後のK先生と私のコメントを入れると9時間の発表に真剣に参加することができたこと

3. 発表は全て英語、質疑応答も時々日本語が混じったがほぼ英語でおこなったこと

4. 卒論の最初から謝辞まで全編を通して発表することができたこと

5. 最後のK先生のコメントにもあったように大学院に迫るような質の高い研究内容であったこと

6. K先生が細かな質問ができるほど緻密に構成された卒論になっていたこと

7. いい質問がフロアからでたこと

8. 司会(Convener)、指定討論者(Discussant)が上手く機能し、時間を有効につかうことができた

9. 時間を守り、時間の管理もきちんとできたこと

10. 楽しく合宿をすごすことができたこと

11. 開会式(私はインターネット接続問題でミスしたけれど)と閉会式がとてもよかったこと

もちろん問題点もあったと思います。これについては月曜日のゼミで議論する予定ですので、その後アップロードしたいと思います。

2日間という短期間でしたが、ゼミとしては卒論のめどをつけることができた秀逸な合宿になったと思います。合宿については後日もう少し書き足したいと思いますが、あらためて2日間お世話になったK先生、TAのKさん、びわこリトリートセンターの皆様、ゼミの合宿コミッティーの皆さん、そして熱心にご参加頂いた18期生全員に感謝したいと思います。

PS. 閉会式で流されたスライドショーには感涙でした。

(2018.11.11)

★今回の教訓:冬合宿、成功裏に終了!f:id:wakazemi:20181114011615j:image