オックスフォード通信(162)Liverpool 紀行 (3) Wedgwood

リバプールの帰りに陶器で有名な Wedgwood に立ち寄って来ました

以前トロントに住んでいる際に、住んでいた大学のファミリー用アパートの前にドカンとWedgwood のお店があったので名前だけは知っていました(妻はカナダからの帰国前に折角だからと?Wedgwood も並べていたギアンの高級お皿セットを購入しました。出し惜しみをしていることもありまだ無事です)が、その本社兼工場兼ミュージアムがあるということで、リバプールから約1時間半の Stoke-on-Trent まで足を伸ばしました。

色々と面白かったのですが、まず工場見学については、ミュージアムと兼用のチケットが£10。高い!このようにして手作りで陶器をつくっていますよというアピールなのか、とてもその工場で作っているだけでは世界中の支店に売りさばく Wedgwood の陶器はできないと思うほど丁寧に作っておられました。陶器の絵付けやジャスパーと言われる立体感のある飾りを付けているのは全員女性でした。筆を握っている方々と話ができるのが面白いのですが、なぜ女性ばかり?男性は?というような話もやりとりされていました(100年前は賃金が高かったので男性もいたが、現在では賃金が安いから女性ばかりになるのでは?と私の横のイギリス人風の男性が言っていましたが多分ハズレだと思います)。

実際に男性社員もいたのですが、出来上がった製品を運んだり、見学者用の手すりを磨いていたりと陶器の本質とは関係のない仕事をしておられました。きっと女性の方が手先が器用で美的センスがあるから女性ばかりの作業になるのではないでしょうか。みなさん、ヘッドホンで音楽を聴いたりとゆったりとした作業風景でした(余計に怪しい。地下に秘密工場があるのでは・・・?)

もう一つ面白かったのは本社工場内は写真撮影厳禁ということなのですが、その表示が英語・日本語のみだったことです。よっぽど日本からの観光客が押し寄せるということなのでしょうね。

もともと陶器をChinaというほどですから本家の中国人観光客は陶器には興味がないのかもしれません。

美術館は1759年に開業した Wedgwood のまあ自慢の館のようなもの。この工場見学とお家自慢にお金を払って見ている私はマヌケなのかもしれない、と思いながら折角なのでじっくりと見せていただきました。興味深いのはあのCharles Darwinのお祖父さんが(内科医だった) Wedgwoodファミリーと関係があったこととミカドという日本風のWedgwoodが展示してあったことです。日本風見の陶器も製作されていたということですね。

その後、イギリスに来てから最も美味しかったアフタヌーン・ティー(ティー・ルームという高級レストランで)を頂きながら(特に、これまで極評スコーンがあれほど美味しいとは)、陶器が執り持つ日本とイギリスの不思議な縁について考えていました。そういえば、現在の新作のティーカップも Kyoto というシリーズでした。

私はその後、併設のアウトレットで(良く考えてあって、その他にフラッグシップストアと称する正規価格で販売の店が美術館の横に。アウトレットの横にはダイニングというカフェも[間違えてこちらでサンドイッチを食べそうになった!} 研究室用に素敵な Wedgwood マグカップ6点セットを購入しました。お披露目は来年3月末になりますのでそれ以降、是非、ティーを飲みにおいでください。

(2018.9.5)

★今回の教訓:奇しくも私と丁度200歳違いで Wedgwoodが創業している。陶器とアフタヌーン・ティーを通して見るイギリス文化も面白そう。M6-M40-A44とモーターウエイを乗り継いで帰って来たが、ほぼ地平線に沈む夕日がとても綺麗だった。まだ日没は夜の7時半くらい。
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オックスフォード通信(154)Sunny side up? Over easy?

English Breakfastの定番には必ず目玉焼きが入っています

日本では目玉焼きを英語でSunny side up(黄身、Yolkが上の状態の料理ということなんでしょう)と言いますが、以前から何か変な感じがありましたが、「そうなっている」と言われれば言葉なので「そうですか」と言わざるをいませんでした。なぜ違和感かというとその言葉のどこににも卵という言葉が入っていないからです。

両面焼きのover easyに関してはもっと違和感を感じるもので、確かに反対側も焼いてください、という感じなのでしょうか。

今回の在英研究の裏メニューは英語自体について考えることですので、この点についてオックスフォード大学のEさんと話をしてみました。すると驚愕の事実が・・・

驚愕でもないのですが、sunny side upと聞いても目玉焼きと分かるけれど、イギリスでは通常、fried eggというとの事。両面焼きでもfried egg(あまりイギリスで両面焼きをみた事がありません)。

なるほど。両者を比べてみるとイギリスの方が分かりやすいですね。私たちの(私の)潜在意識の中にアメリカやカナダの英語が正しいというものがあるのかもしれませんが、通常日本で手に入る本などはほぼアメリカ英語をもとに書いてあるのでイギリス英語に触れる機会がありません。

もちろん、逆にイギリス英語が本家なので、そちらが正しいということもないと思います。丁度、京都の銘菓、八ツ橋の本家と元祖はどちらが本当なのかのような留めない議論になるのでそれは意味がないと思うのですが、少なくとも全てのアメリカ英語を採用しなくてもいいと思います。

おそらく「どちらが文化的に・コンテクストニュートラル」で「分かりやすいか」という視点で考えるべきだと思います。あくまでも英語を使うのは「グローバルリンガフランカ」=「国際語」としてであるということを覚えておきたいと思います。

A: Can I have fried eggs?

Waiter: How would you like madam?

A: Could you make it over easy?

という英・米・加、ミックスが一番妥当なのかもしれません。

(2018.8.28)

★今回の教訓:イギリス英語を部分的に採用することで英語の使用が楽になるかもしれない。
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オックスフォード通信(124)新聞考

さすがイギリスには多くの新聞があります

定期購読はしていませんが、週に3回購入して読んでいます。テレビのBBCニュースもよくできていていいですが、やはり新聞でニュースを読みたいですね。インターネットのニュースも見ますが、じっくり読むのには向いていないと思います。

いろいろな新聞を試してみました。まずはローカルなOxford Times。字体(重要です)もトピックの選択も適切でイギリスに来た頃はよく読んでいました。次は、The Times(タイムズ)。イギリスの代名詞のような新聞ですね。ただ読んでみるとフォントが少し小さいのと記事自体にあまり興味を持てませんでした。友人のPさんによると、保守系新聞と位置づけられているようです。そうお聞きするとなるほどと納得するところがあります。

社会事象に切り込むというスタンスは余りなく、ニヤリとすることもなるほどと思うところも少ない(あくまでも私の個人的な印象です)。

新聞は徒歩5分のところにあるCo-operative(コーオプ)かM&Sというスーパーで買うのですが、最近の定番は、The Guardian(ガーディアン)です。字体がコーナーによっては小さな場合もあるのですが、適度にカラフルな配色もいいですし、少なくとも1箇所はじっくりと読みたいと思える記事があります。いわゆる読み応えのある記事です。

日本の新聞にないような深みのある記事や論文のような記事もあります。いわゆる質の高い記事といえるようなものでしょうか。例えば、2日前の「英語が世界を席巻する」という記事には考えさせられました。英語が世界を覆い尽くしているために、2週間に1つの世界の言語が死滅しているというところには考えさせられました。このような記事を英語の総本山のイギリスの新聞が掲載することにも感じ入るものがあります。ただこのような長文をインターネットで読むのは辛いのでやはり購入してということになります。

また最近のニュースでは、イギリスの先生が多忙で、特にメールなどによる父兄との応対で疲弊しているという記事も日本とのあまりの類似性に、先生はどこの国でも時代の最先端に立たさせれていることを実感させられるものでした(GuardianのHPのリンクが切れているようですがpdfがありますので必要な方はメールでお知らせください)。

こちらの新聞の楽しみは、土曜日版にあるのも面白いところです。通常は£2が(約300円)が£2.9(約440円)ですから少し張りますが、読書ガイドなどいろいろな付録が付いてくるのも有難いところです。ただ、日本の新聞が一部売りで150円~160円であることを考えると(£で言うと£1、半額ですね)、日本の新聞が薄いのは仕方ないことなのかもしれません。

新聞不況はイギリスも同じで、ただでインターネット版を利用している読者には、購読のお願いだけでなく、donation(募金)のお願いが載っているのも、いかに新聞が危機的な状況にあるか、示しているようです。

日本の新聞よりは少々高いですが、これからも週に3回は新聞を購入し続けたいと思います。

(2018.7.29)

★今回の教訓:夕方に行くと他の新聞は売れ残っていても、ガーディアンはオックスフォードでも人気新聞の一つのようで、大抵売り切れてる。小学校6年生の時に夕刊の新聞配達のアルバイトをしていたが、こちらで新聞の宅配もあるはずだがそれほど利用している家庭を見かけない。
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オックスフォード通信(95)留学するならアメリカよりもイギリス(ヨーロッパ)?

留学はイギリスへの方がいいかもしれない。
これまで留学をするならカナダかアメリカと思ってきましたが少し考えが変わってきました。

昨日、ピーターラビット研究で著名なK先生と奥様に夕食にお招きいただき、オックスフォードで最も有名なレストランのひとつのトラウト・インを訪れました。場所も素敵なところだったのですが、料理も最高でビール(エール)と相まって素晴らしい夏の夕食を楽しませて頂きました。

その際にも話題に上ったのですが、イギリス人と日本人にはいくつもの類似性があるように思います。

例えば、控えめなところ。オックスフォード大学のセミナーに参加しても北米の学会にあるようなグイグイ質問する雰囲気ではなくて、周りを気遣いながら質問する姿を何度も目にしてきました。先日の生理学部の公開セミナーでも質問は一つ、司会者からもう一つ、もう質問も出ないのででは終わりましょう、という感じで予定の時間よりも早く終了してしまいました(全てのセミナーでそうであるわけではないですが。総体としてそのような印象があります)。これにはとても意外な印象があります。

その反面、相手の考えをじっくりと聞く姿勢を持っているように見えます。共感的態度があると言ってもいいでしょうか。

また、体型が特に男性はそれほど大柄な人は多くなく、日本人とそれほど体格が異なるという印象を受けません。

また質素で自然を(特にガーデニング)を愛する傾向があり、自宅の庭の手入れに時間をかけておられます(この点は日本人と異なるかもしれません)。

また伝統を頑なに守り外形的な変化を好まない傾向があると思います。つまり、自分が一度いいと思ったことは周りがどれだけ変わっても変えない。街中で時々オールディーズの自家用車に乗っている人を見ることがあります。また携帯もBlackBerry風の日本で言うところのガラ系を使っている人も目にします。

全般的に物事の考え方が堅実で真面目な人が多いように思える。

一方、K先生とも昨日話をしていたのですが、日本人と大きく異なるのが車の運転です。先日、湖水地方にK先生に連れていっていただいた際にも行き違いのできそうにもない道をものすごいスピードで(恐らく80キロ以上)皆さん走っておられました(K先生も)。5月にレンタカーを借りて Cotswolds を訪れた際にも(通信42を参照)同じことを感じました。ハンドルを握ると人間が変わるのか、スピード狂の人が多いように思えます。

これらはあくまでも印象なのでこれから変わるかもしれませんが、こと教室や英語使用に関しては、少し控えめでじっくり話を聞いてくれるイギリスの方が、同じく英語使用については奥手な日本人には向いている部分が多いのかもしれません。

あまり質問しない、出過ぎない、極端に大柄な体型の人がいないこのイギリスの環境は合わないという人もいるかもしれませんが、日本人の気質にあっているような気がします。

そう考えると、日本はアメリカを意識的にも無意識的にもモデルにしてしまっているのではないかと思います。自分から話をはじめ、分からないことは残らす質問し、周りの雰囲気よりも自分の学習を優先する。これは英語という言語と結びついた傾向だと思ってきましたが、これらは全てアメリカと結びについた傾向なのかもしれません。

この点については今後もう少し考えて見たいと思います。

(2018.6.30)

★今回の教訓:アメリカとイギリスのハイブリッド版のカナダもいい。オープンで人に優しいところは魅力的。特に人に優しいというところはカナダに優る国はないかもしれない(K先生曰く、スコットランドも人に優しいとのことだが)。
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