ロンドン・シンフォニー・オーケストラ (LSO)の演奏会に行ってきました
9月にプラハを訪れた際、スメタナ博物館に行く機会があったのですが、そこでスメタナのピアノや楽譜を見ることができました。スメタナというと「Ma Vlast(わが祖国)」が有名ですが、恐らく日本で教育を受けた現在の50才以下の多くのみなさんが、「モルダウ」を音楽の時間に聞いたり、クラスや学年合唱で唱った経験があるのではないでしょうか。
私は中学の教師をしている際、3年生の合唱課題曲がこのモルダウだった経緯から毎年中学生の素晴らしいハーモニーを聞くことが出来ました(不思議に9年間の学級担任としてクラスで歌った合唱曲は全て覚えています)。特に学年合唱でのモルダウは人数が200名近くになったため(現在の少子化とは真逆の世界でした)素晴らしい迫力で胸に迫ってきたのを覚えています。
チェコでは残念ながらスメタナのコンサートに(ドボルザークも)行けなかったので残念におもっていたのですが、ロンドンのバービカンホール(Barbican Hall; Barbicanとはもともと見張り台のこと)でLSOがスメタナの「わが祖国」全曲を休憩なしで6楽章演奏するというので、出かけてきました。
当日はあいにくの雨模様で、しかも最寄りのSt. Paul 寺院の地下鉄の駅だけが封鎖でCloseになっていたため、1つ遠い駅から歩かなければならないなど、相変わらずロンドンの地下鉄には苦労することが多いですが(後から分かったことですが、9月から10月の週末、土日は計画的に駅を封鎖しているそうです。またこの日はオックスフォードからバスで出かけたのですが、ロンドンハーフマラソンの影響で市内の多くの道路が通行止めで通常とは異なるルートを通るなど大都市ならではの経験もさせて頂きました。コンサートからの帰りは動いているという地下鉄リバプール駅まで歩くのも億劫だったので奮発しVictoria駅までてタクシーに乗らせていただきました[タクシー・アプリ(ドイツで使ったものと同じもの)を使うと2-3分でその位置まで来てくれます。これは便利です。日本でも使えるといいのですが])。
さて、 Barbican Hallですが、思ったよりも狭いというよりもどの席もステージに近い様子で、聴衆全体がステージに集中できるデザインになっています。
少し面白いとおもったのは、チケットの係員の対応です。大きな荷物はクロークに預けるようになっているのですが、知らずに入ろうとした私に、「うーん、ちょっと大きな感じがするね。預けてもらう方がいいな」といった感じのソフトな言い方で私に対応してくれました。その一言でこのバービカンホールにもロンドン・シンフォニーにも親近感が湧くのが不思議です。
わが祖国はレコード(CDではなく)で全曲聴いたことがあるのですが、休み休み、日をあけて聞いていたので、全楽章を一気に聞くのは初めてのことでした。もちろん、第二楽章のモルダウは素敵で歌い出しそうになるくらいだったのですが、他の楽章も力強く、ドラムとシンバルが迫力のある曲想を演出していてあっという間の90分でした。
やはりチェコに行っておいて良かったなあと思いました。曲を聴きながら何となくですが、チェコの風景が目に浮かぶようでした。第一楽章のハープから始まる美しいメロディーも印象的です。
民族というよりも、誰にとっても故郷は大切だなと実感します。ドボルザークよりもスメタナの方がよりヨーロッパらしい感じもするのですが、チェコの自然と風土を大切に思う気持ちは同じだと感じました。
生で聞く音楽はCDやレコードと違い、五感で音楽を感じるように思います。コントラバス奏者の弓が途中で切れてしまって、奏者がそおっとステージを降りていったハプニングも含めて(すぐに戻って来られました)心に残るコンサートでした。
ビートルズ、モーツアルト、ドボルザークに加えてスメタナもまたこれから長く聴き続けることになるだろうな、と思っています。
2月には同じホールであのウイーンフィルのコンサートがあるので行こうと思っています(マーラーの9番です)。
PS. LSOの常任指揮者にはサイモンラトルが就任。ただ本格的な演奏活動は来年からとのこと。
(2018.10.23)
★今回の教訓:ロンドンとオックスフォードはいい距離にあると思う。ストラットフォードアポンエイボンに行った際、かのシェークスピアは二晩、馬に乗ってロンドンに行ったと博物館で説明があったけれど、オックスフォードならその時代でも一晩で行けた距離だと思う。