こちらに来てあまりイギリス英語とアメリカ英語の違いに注目してきませんでした
それはオックスフォード大学が世界中から学生・院生・研究者・先生が集まっているので、スペリングで例えば、realizeをrelise、centerがcentreと表記されるような特徴的な事以外には気が取られることがありませんでした。
アシュモリアン美術館勤務のPさんと今日話をしていて語彙の微妙な違いが面白いと思いました。書き記すような事でもないのですが、よく俗語で使われるassというのはイギリス英語ではロバという意味で人を馬鹿にする(その点では同じですが)時に使われ、通常のお尻という意味ではないとのこと。一方、その意味では、arse という言葉を使うとのこと。話がややこしいですがここまでくると単なる表記の問題でもないようです。
オックスフォードのバスにのるとMetroというフリーペーパー(ロンドンと共通)をもらうことが出来ます。中にはひと言ありがとう (Good Deed Feed)とか偶然会ったあの人に(Rush-Hour Crush)などの投稿のコーナーがあって面白い新聞です(このような新聞を授業で使うと面白いと思うのですが)。これが毎日発行されているのがすごいと思います(それだけのいい行いと偶然の出会いがあるのですね)。今日のその記事に、ロンドンの地下鉄でGospel Oak駅とBarking駅の間のOverground service路線についての記事がありました。Pさんに言わせると昔は、Underground (=tube; 地下鉄)に対して地上を走る電車は全てOvergroundと言っていたそうですが、現在では地下鉄なのに全路線地上を走る特定の路線のことをOvergroundと呼ぶそうです(私はピカデリーラインのようにヒースロー空港近くになると地上を走る部分のことかと誤解していました)。
アメリカ英語に慣れているとイギリス英語は分かりにくいと思うのですが、このようなunderground=overgroundなどの例にあるように(最も昔の意味の場合ですが)イギリスの方が分かりやすいことがあります。
発音についても、can = can’t は圧倒的にイギリス英語の方が発音しやすいです。canをアメリカ英語的に発音するとcan’tといっているように聞こえることがありますが、イギリス英語の、カン (can)、カーント (can’t) と発音すると誤解されることはありません。
国際語としての英語を使う場合には、「通じることを前提」にイギリス英語+アメリカ英語+カナダ英語+ニュージーランド英語+オーストラリア英語の日本人に使いやすいところを取捨選択することもあり得ると思います。すると、日本人が美徳とするような「美しい英語」という幻想からも脱出する事が可能となるかもしれません。
明日からヴェニチアを旅してきます。
★今回の教訓:そろそろジャパニーズイングリッシュという蔑視ではなく、Nippon英語というジャンルを確立してゆく時期かもしれない。Nippon English なかなかいい呼称かもしれない。
(2019.3.7)