オックスフォード通信(205)インドにおける女性の政治参加問題

Nuffield College で開催されたセミナーに参加してきました

インドにおける女性の社会的地位について興味があったからということもあるのですが、このセミナーはお昼ご飯付きで(サンドイッチとコーヒー)あるということも引きつけられた理由の一つです。

オックスフォードのいいところはあらゆるカレッジ、学部でセミナーが開かれているのでいろいろな場所で多様な話をお聞きすることができるところです(不思議なことにEnglish Departmentだけ公開セミナーをしていません)。ただ大変なのはそのカレッジの中のセミナールームを探し当てることで、ロッジ(受付)で聞いてもなかなかその場所まで行くのは難しいのですが、私のようにウロウロしている人がいるので大抵その人達と一緒に行くと目的地に到着できます。本日のロッジのスタッフはよほど慣れているのか、オックスフォードいやイギリスに来てからこれ以上ないくらいの分かりやすいクリスタルクリアな説明をしてくれました。

さて、インドの女性の政治参加意識ですが、日本と似ていて異なる所があってとても興味深い状況でした。似ているところは男性中心社会であることと政界や地域でも男性が実権を握っているところです。一方、異なる点は、インドは女性はHousehold(家事)に従事することが圧倒的ですが、日本ではむしろ真反対の傾向で、結婚する女性や男性の家族と同居することは激減し、代わりに家庭に縛られることなく社会で働く女性が多くなっているところです。

インドでは arranged marriage(お見合い結婚)の比率が高いようで、生まれ育った地域を離れて男性の住む地域に移り住むことがそれまでのつながりから切り離され孤立し、その一方で家事や育児に縛り付けられ政治参加や投票行動から遠ざかるというシナリオになるとのことです。

本日のスピーカーのSさんはプロジェクトしてGroupingを取り入れた効果を発表しておられました。それは孤立した女性のネットワークをつくり女性同士のグループを作ることによって、いろいろな話をする機会が増え、政治意識も高まってきたという内容でした。インターネットが高度に発達した中でもこのようなグループの効果をあらためて実感する機会となりました。

研究手法としても必ずコントロールグループ (Control Group) とトリートメントグループ (Treatment Group) を設定して比較しているところが手堅いところだと思います。

一方、素朴な疑問としてはインドの女性がそのような政治参加や意識向上を望んでいるのだろうかという点も挙げられます。西欧的な認識からすると男女は平等でなくてはならないのですが、このプロジェクトが終わった後にもその意識は維持されるのか、考え込む点もあります。

ただ女性達が一緒で笑顔につつまれている写真を見せて頂いたのですが、どの社会でも自由に伸び伸びと生きたいと思う点は普遍的なものであると思います。

私の母が広島に嫁いだころは恐らくこのインドのような状況だったのかもしれないと思いながらサンドイッチを頂いていました。

(2018.10.18)

★今回の教訓:アットホームな環境でのセミナー。セミナーの雰囲気や環境もあらためて重要と認識。
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