オックスフォード通信(105)2つのポッター、ゆかりの地

イングランド中部、Gloucester に行ってきました

日曜日、このブログにもよく登場するK先生の車に乗せて頂き、Cotswolds と総称される地域のひとつでもあるグロスター(Gloucester)まで日帰りで行ってきました。日照り続きで少し色茶けた印象はあるもののどこまでも豊かな続く平原に沿ったドライブウエイを走る片道90分くらいの快適なドライブです。

グロスターは2つのポッターで有名な場所です。

ひとつは映画『ハリー・ポッター』のロケ地として、もうひとつはBeatrix Potter の 絵本 “The tailor of Gloucester” の舞台として。Potterの専門家であるK先生にご案内いただきました。おそらくK先生にご案内していただかなければさっと素通りしてしまったのではないか、と思うのですが、Gloucesterの街を味わい深く散策させていただきました。

順序は逆ですがまずは“The tailor of Gloucester”から。

物語は実際にグロスターに言い伝えられていたものをBeatrixが絵本にしただけあって、元々の物語に出てくる市長が住んでいた場所も残っていました。またBeatrixがスケッチした風景が100年以上経ったいまでもほぼそのまま残っているのにビックリしました。物語でTailorが住んでいたモデルの家もスーベニアショップとして現存しています(お店のおじさんがとてもフレンドリーでした)。京都顔負けでの歴史が現在に息づく街と言ってもいいでしょう。そこではティーポットを買い求めました。

もう一つの映画のポッターにでてくるのが Gloucester Cathedral (グロスター大聖堂です。

写真の回廊が “Harry Potter and the Philosopher’s Stone” などでロケ地として使われたそうです。実際に歩いてみるとなるほど映画のシーンがなんとなく思い浮かぶようでした。しかし映画のロケハンはすごいですね。この大聖堂の回廊を映画に使うのですから。1499年の創建のこの建物なら確かに不思議な世界への入り口に丁度いいのかもしれません。

Gloucesterの街自体は残念ながら活気があるとはいえませんでしたが(日曜日だったこともあるかもしれませんがオックスフォードに比べるとその差は歴然です)、大聖堂を中心に、歴史を肌で感じることのできるいい街だと思いました。大聖堂ではミサがちょうど終わる頃で、空軍のベテランの皆さんの式典なのか制服姿の退役軍人のみなさんの姿を多く目にしました。パイプオルガンから奏でられる荘厳な音楽が大聖堂に響きます。パイプオルガン自体は同志社女子大学ファウラーチャペルよりは少し大きく、新島記念講堂よりも少し小さめに思うのですが、天井が高いせいか音響効果は壮大です。このような音楽を聞いていると神の世界を頭に思い浮かべやすいのかもしれません。

オックスフォードでも教会には何度も足を踏み入れましたが、このグロースター大聖堂は規模が一段と大きく感じました。一つには先程も述べたように天井が高いこと、ステンドグラスが美しいこと、そして最大の特徴が天井の細工が繊細で精巧であることです。なぜこれほどの大聖堂を作る必要があったのか、それは教会の権威を世に知らしめるため、といえばそれで終わってしまうかもしれませんが、信じられれなくらいの人員と時間とお金をかけて作り上げる情熱はどこから湧いてきたのか、それを一つにまとめる力が当時の教会にあったことに改めて驚きます。

私の専門は応用言語学ですが、私が大学院生くらいでここに来ていれば宗教学の研究をしたいと思ったかもしれません。

入場料は無料ですが、写真を撮るための許可(Permit、£3) を得て沢山の写真を撮らせていただきました(このアイディアはナイスですね。同志社女子大学でもそのようなチケットを売り出すと爆発的に売れるかもしれません。最も建物ではなくて女子大生にカメラを向けられそうで寸が)。

大空間にいると普段考えることのないような壮大な考えも浮かんできそうになってきます。日曜日、見上げると、快晴の夏空が広がっていました。また違う季節に訪れて見たいと思います。

大学からはもう2019年度授業の問い合わせが届いています。このオックスフォードでの生活をもとに更に同志社女子大学(や非常勤として出講している他校も)での授業を更に10歩くらい進める方法を考え続けたいと思います。

(2018.7.10)

★今回の教訓:空間は思考を生む。
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